■名前すら言えない……電話が怖くて髪も切れない日々
このマークの作成に関わった富里先生は、自身も吃音で悩んできた経験をもつ。
富里先生が自身の吃音を自覚するようになったのは10歳の時だった。
「小学校4年生のとき、学校で劇の『白雪姫』の練習をしていて、鏡のセリフ『それは、あなたです』というところで、『それは、……』と詰まってしまって、その後が言えなかったんです。そのとき、先生から『しっかりやれ!』と怒られてとても悔しかったことを覚えています」(富里先生、以下同)
富里先生が本格的に吃音で悩むようになったのは、大学の医学部へ進学するために東京で一人暮らしを始めたころから。大学生となり、人前で自己紹介をする機会が増えた。
「実習などで自己紹介をするとき、自分の苗字の『とみさと』すら詰まって言えないんです。一人で家で練習するときは問題なくできるのに、人前に出ると、途端に詰まって声が出なくなってしまう。皆がいとも簡単にできていることが、なぜ自分にはできないのだろうかと悩むようになりました」
その結果、人前で話す機会を避けるようになってしまったと振り返る。一時期は社交不安症(対人恐怖症)になってしまい、家から出られなくなった。電話で話すことにすら恐怖心を覚えたという。
「電話は相手の顔が見えない分、不安が増します。当時は散髪の予約をするのに、電話をかけるのが嫌で、髪が相当伸びてから、たまにバッサリ切るということを繰り返していました」
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