「ずっと二人三脚で歩んできた母は、モデル界入りに反対しませんでした。これまで母は私がやりたいことに対して反対したことがありません。ただ、いっぽうで『夢を追うことは大事。でも、それで社会人としての義務を果たせるだけの収入と生活基盤をつくれることをプランとして出さないと認めません』とも言っていました」

そう語るのは2013年ミス・ユニバース日本代表に選ばれた松尾幸実さん(25)だ。漫画家もこなす異色の肩書を持つ彼女がモデルを始めたのは大学に入ってからだというが、そこには母の厳しい訓えがあったようだ。

「モデルのお仕事で生きていくつもりでしたが、大学4年の卒業を前に母からある金額を提示されて『もし、このボーダーライン以上稼げないようならモデルはやめなさい』と言われたんです。私は母の提示したラインを超えるよう必死で頑張りました。そのラインが絶妙で、必死に頑張らないと達成できないようなところを言ってくるんです。結局、なんとか達成し、大学卒業後もモデルを続けることができました」

当初提示していたプランを達成して以降、母はメンタル面のケアから技術的なアドバイスまで全力でフォローしてくれたという。

「実は、母もモデルをかじったことがあるんです。だから私がどういうポーズがいいのかと悩んでいるときには、よくカメラをかまえて一緒に考えてくれました。写真を見ながら『こっちのポーズのほうがいいわよ』なんて言ってくれて、参考になりましたね。ちなみに、私のスリーサイズと25歳当時の母親のサイズがまったく一緒なんだそうです。顔も似ていて、瓜二つとも言われますね。『体重までは覚えていない』と言っていましたけど(笑)」

世界にはばたいていく松尾さん。その姿をいちばん喜んでいるのは、もちろん大好きなお母さんだ――。

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