「本当に苦労の連続でした。当初のオープン予定より3カ月も遅れましたが、開店日はちょうど『食べものを大切にする日』の9月9日に。これもご縁かなと考えています」

そう語るのは、食プロデューサーの園山真希絵さん(35)。7年間切り盛りしてきた和食料理店『園山』を閉店してから6カ月、前店からほど近い恵比寿駅前の雑居ビルに和菓子店『豆園』をオープンしたのだ。店内は、5坪ほどのスペースにカウンターが置かれただけのシンプルな造り。しかし、そこには彼女の思いが込められているという。

「『豆のように、小さくても力強くやっていきたい』という思いもあり、こんなお店にしました。本当は、お客様に買っていただいたものを店内でも召し上がっていただければいいのですが、まずは販売から始めて勉強させていただきたいですね」

『豆園』では、その名の通り、豆を使った和菓子を販売している。豆には“縁起がいい”という意味合いも含まれているそうだ。

「材料の黒豆は地元・出雲の中心部から車で40分の畑で作り、金沢の職人さんのところに赴き無理難題をお願いし、何とかこだわりを理解していただいたんです。実は、豆は縁起物なんですよ。私の実家のお雑煮は“ぜんざい”なのですが、小豆は、邪気を払い、一年の無病息災を祈って食べられてきました。また、今回の和菓子には、『元気に過ごせますように』という意味も込められている黒豆も使用しています」

初回限定の500個には、出雲大社で祈祷した赤い糸が結ばれているという。

「出雲大社は、縁結びの神様がいることでも知られています。以前からお世話になっている方々だけでなく、初めていらっしゃる方々とも美味しくて素敵なご縁が結べればと思っています。男性とのご縁ですか? やっぱり聞かれると思いました(笑)。それもご縁とタイミング次第ですね(笑)」

そんな彼女には、『豆園』を通じて伝えていきたいものがある。

「これまでいろんな土地をまわりましたが、海外から見る日本の食はやっぱりお寿司や天ぷら、すき焼きなどが有名。でも、旧き良き日本の和菓子の美しい素晴らしさも広めていきたいんです。私が昔から慣れ親しんできた豆をもっと広めたい。日本の方にはもちろん、世界中の方々にその良さを知ってもらいたいと思っています」

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