t.A.T.uがスニッカーズの出演で7年ぶりの再来日を果たし、デビュー当時を思わせる赤いチェックのミニスカートの制服姿で登壇、記者会見を行った。デビュー当時はミドルティーン(15~16歳)だった二人もソバージュのリューナは29歳、短髪黒髪だったユーリャは28歳とアラーサーの完熟した女性になり写真の通り制服風の衣装では収まりきらない大人の成熟した色香が”はみだし”てしまっている。二人が口にしたのは「日本での再活動」を希望。当時は未成熟なロリータ風を売りにしていた二人が完熟した色香で帰ってきてしまった。”美魔女”ブームとはいえ「アイドル戦国時代」を終え、新たな展開期を迎えた日本ではどのような反応を示すだろう?

t.A.T.uは2人のグループ名だけではなく、プロデユーサー、マネージャーなどの制作陣を全て含めたプロジェクトの総称だった。初期のt.A.T.u.は、リェーナとユーリャがレズビアンカップルというイメージを前面に押し出していたため性的表現や匂いがご法度の日本のアイドルしか知らない視聴者に強いショックを与え、優れた音楽性の楽曲もあいまって、たちまち大ヒット。当時、有名な音楽評論家がこぞってt.A.T.uを評価し支持した姿はAKB48やももいろクローバーZのそれにも似ているが、日本のみならずヨーロッパで大きな成功をおさめアルバムとシングルの売り上げ累計は1500万枚を記録している。

ご存知のように人気絶頂だった’03年6月27日、テレビ朝日放送の『ミュージックステーション』で冒頭には出演したものの、その後行方をくらますという”ドタキャン騒動”を起こし大問題になり、その人気は一気に終息してしまう。これは後にプロデユーサーが話題作りに行ったことがわかるが、各地で行ったため完全に裏目となりプロデユーサーはその後解任、一時人気は回復したが’11年グループは解散した。

さて、もういちど二人の写真を見ると、この衣装はかなりの無理が。日本のアダルト業界では29歳からはカテゴリーは”熟女”となる。パロディが人気のスニッカーズのCMでは話題になることは間違いない。ではアーティストの活動としてはどうだろうか?

実はt.A.T.uの再評価の動きもある。楽曲のレベルの高さ、エロティックなイメージに臆することなく果敢に挑戦したコンセプト、メンバー二人の持つスキャンダル性が時代を先行していたことは間違いない。人気アイドルBisが『パブリカ』のPVのビジュアルイメージにt.A.T.uを取り入れサブタイトルに(remenber t.A.T.u)と入れていることも拍車をかけている。

新人類ジュニア世代ともいわれ、YouTubeで時代を超えた動画を視聴できる現代の若者には「良いものは良い。面白いものは面白い」という価値観が明確にある。その彼らがt.A.T.uの過去の活動に新たな可能性を見出してもおかしくはない。

だからと言って懐メロのようにt.A.T.uの二人が過去の楽曲を歌っても数回のイベントで飽きられてしまうだろう。ミドルティーンの輝くようなエネルギーをすでに失った二人が露出の多い衣装を着てもそれはただの”エロ”にしかならない。日本でのアーティストとしての再活動をバックアップする有能なプロデユーサーが現れたら……それでも過ぎ去った”何か”を取り戻すことは難しのではないだろうか。

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