「ある日、フジテレビさんから『写真を使わせていただきたい』というお話をいただいたんです。もちろん私は『どうぞご自由にお使いください』と快諾しました。初回放送は、家族みんなで拝見しました。最後のテロップからは、スタッフの方々の温かい気持ちが伝わってきました――」と語るのは、故・児玉清さん(享年77)の長男・北川大祐氏(44)だ。

 初回26.5%を記録したドラマ『HERO』。そのエンドロールで流れた《Special Thanks 児玉清》という一節が注目を集めている。01年放送の前作は、木村拓哉(41)演じる検事・久利生公平の型破りな役柄が話題となったが、彼を支える重要な役どころとして児玉さんの姿があった。だが、11年に児玉さんが胃がんのため死去。そのため今作では彼が演じた次席検事・鍋島利光は亡くなっている設定で、生前の写真が映し出されていた。

「前作から出演者が様変わりしているため、新メンバーに『久利生公平は、ただの型破りな検事ではない』ということを説明する必要がありました。そこで用意されたのが『あの鍋島次席も認めていた』というセリフです。つまり、児玉さんは前作と今作を繋ぐキーマンだったのです。“出演”はスタッフの総意でした」(ドラマスタッフ)

実は、児玉さんにとっても『HERO』は特別なドラマだった。02年に胃がんで亡くなった長女・奈央子さん(享年36)の強い勧めによって出演を決意した思い出の作品だったのだ。結果、平均視聴率34.3%の大ヒット。だがその翌年、奈央子さんは天国へと旅立ったという。ショックから、妻とともに泣き腫らす日々を送っていたという児玉さん。だが、女性自身07年1月30日号でこう語っている。

《こんな僕でも、人さまに元気を与える部分があることを知ってね。それからですね。自分のためだけではなく、人のために何かすることに意義を感じ始めたのは。大切な娘を亡くして、そのことが初めてわかった……》

 その後、数々のドラマに出演を果たした児玉さん。自らの言葉通り、11年に亡くなる直前まで精力的に仕事に打ち込んでいたという。そして娘との思い出が詰まったドラマへの“再出演”。児玉さんが天国へ旅立ってから果たした偉業は、娘と夫を立て続けに同じ病で亡くした妻・好子さん(82)にも光を与えたようだ。北川氏がこう明かす。

「母は、まだ父のことをお話できません。ただ、先日の放送を見て『パパの写真が使われているね』と嬉しそうにドラマに見入っていました。いまだにこうして父が必要とされ、大切にしていただける。それは家族としてもありがたいですし、とても嬉しく思います」

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