「健二はイスラム国の敵ではありません。先に拘束された友人の釈放を願って渡った子です」と悲痛な表情で語ったのは、ジャーナリスト・後藤健二さん(47)の実母・石堂順子さん(78)。後藤さんと湯川遥菜さん(42)の人質事件は、1月24日夜にイスラム国側が湯川さんの殺害を公表したことで急展開している。
 
その前日、順子さんは都内の外国人記者クラブで会見を開き、息子の解放を涙ながらに訴えていた。だが会見で順子さんがしゃべった言葉には、テレビで生中継を見ていた人たちから「意味がわからない」という驚きの声もーー。

「この地球は大切にしなければならない。私たちのために神が創ってくださいました、その貴重なプレゼントをなぜ壊すのか。原子力を使い、地球を汚し、大気圏を汚して何を求めようとするのか……」と人質事件と無関係に思える話を何度も口にして、会場の記者たちを困惑させた。

 じつは、これには理由があった。順子さんの帰宅を都内の自宅で待っていた夫の行夫さん(78)は、頭を下げて、こう明かした。

「すみません、妻は非常に精神的に混乱していて、何を聞いても原子力の話になってしまって……。歳も歳ですし、ご理解ください」

 母・順子さんは、イスラム国による息子の殺害予告を聞いて以来、悲痛のあまり錯乱状態になっていたという。その状態のままで記者会見へ出席した順子さんは、記者が困惑する発言を連発したのだ。

 この日、自宅に戻った後も記者の取材を受けた順子さんだが、後藤さんと最後に会った時期についても、「たしか最後に健二に会ったのは3年前。誕生日を祝ってもらったんです……あれ、でもその後も何かの展覧会に一緒にいったかしら……」と答えるなど、その記憶は心労で不安定だった。残された家族の心痛は、あまりに深いーー。