「デビューしたときは、100枚出すなんて想像もしなかった。感無量ですが、大切なことは枚数ではなく、僕にとってのビッグイヤーだということ。僕のラッキーナンバーが2と7。縁があるのは5という数字。今年は平成27年。5月に100枚目のシングルが発売、10月に60歳になる、といういろいろなことが重なります。“僕の成功は60歳から始まる”とずっと考えていたので、その成功の始まりの年でもある。楽しみにしていた60歳なので、高い意識を持って1つ1つ間違いなく種をまいて、大きな花を咲かせていきたいですね」

 そう語るのは’72年のデビューから40年あまりを経て、5月20日に100枚目のシングル『100の願い』を発売する郷ひろみ(59)。この偉業を成し遂げたのは、あるべき姿を突き詰めてきた結果だと、彼は振り返る。

「デビューした10代のころは、初めは自分ではあまりよくわからずに活動していて、徐々に理解していったという感じ。20代はいろいろ揺れ動きました。たくさんのターニングポイントがありましたね」

 30代になると、アメリカ留学や結婚、離婚、再婚など多くのことを経験したことで、さらに「もっとかっこいい曲を歌いたい」という思いが強くなっていった。

「でも、40代後半から50になるぐらいから、そんな気持ちも吹っ切れて、郷ひろみっていうのは、やっぱり歌謡曲のど真ん中、ジャパニーズポップスのど真ん中にいるんだなと思い、『お嫁サンバ』や『2億4千万の瞳』を歌うのに、躊躇も抵抗もなくなった。ここを一生懸命突き詰めていくことが多くの人に喜んでもらえたり、郷ひろみっていう存在をアピールできることなんだ、と。僕がアイドルであるか大人の歌手であるか、それは見ている人が決めればいいと思っています。僕は何かっていうと“郷ひろみ”なんです。郷ひろみを極めているだけなんです」

 極めるには、何事も完璧に近づきたいと彼は言う。

「人間は大抵、100%やると、安心しちゃうし、できた!と思ってしまうけど、大事なのはそこから。100%できたことを何度も繰り返すと、隙間やアラが見えてくる。あるいは違う方法が。僕はその隙間を埋めていく作業をして、もっと上を目指します。だから終わりがない。完成された作品とか完成度の高いものはあっても、完璧はない。でも完璧にいきたい!完璧にいきたいために隙間を埋めて完璧に近づきたい!ってだけなんです」

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