中村獅童(42)が長年、温めてきたという新作歌舞伎の原作は、ベストセラーとなり映画化もされた絵本『あらしのよるに』(きむらゆういち作)。映画では声優も務めた。共演は、プライベートでも親交がある尾上松也(30)。この2人に語り合ってもらった。

獅童「10年前に出会った作品を歌舞伎として舞台にしたいという思いが、やっと40歳を過ぎて実現することができてうれしいです。動物を演じるといっても、着ぐるみではなく、衣装の色だったり、しぐさ、踊りのなかで動物らしさを出しています」

松也「この作品に登場するのはすべて動物。歌舞伎にはなんでも成立させてしまうすごい力があるんですよね。僕の個人的な考えですが、歌舞伎のいちばん魅力的なところでもあります。素晴らしいご都合主義とも言えますし、ツッコミどころがありますが、見ている人を圧倒させられるというか」

 獅童演じるオオカミのがぶと、松也演じるヤギのめい。食うものと食われるものにある関係の2人が、友情を築いていく作品。実際は、どちらも食うもの=肉食系なのでは?

松也「ヤギを草食系とするなら、僕はヤギタイプではないです(笑)。獅童さんは、対外的には完全に肉食ですけど、中身は草食ですよね。周りのこともすごく気にかけますし、人に言われたことも気にするタイプ」

獅童「間違ったことをしちゃって、『ダメだ!』とか言われたら、『そっか……』『あの人のことも傷つけたかな』とか、ずっと考えて抜け出せなくなっちゃう。松也くんはぜんぜん気にしないタイプで、うらやましい」

松也「そういうときでも、すぐ抜け出せます。自分のことも人のことも気にしないタイプなので(笑)。あと僕、悲しくても感動しても泣くことがあまりないんですよ。感受性が鈍いのかもしれません。なので、僕は獅童さんがうらやましいです。気づかいができたりとか」

獅童「確かに僕はすぐ泣くけど。でも松也くんは優しいよね。後輩たちにすごく慕われてるし、同じ目線に立って冗談を言い合える」

松也「それを言ったら、獅童さんは優しさの塊ですよ。僕らがイジっても、ぜんぜん怒らないどころか、その場をもっと盛り上げてくださる。注目されるのが大好きですよね。そのかわり、主役にならないとスネちゃうという(笑)」

獅童「そうそう(笑)」

松也「少年のような一面もありつつ、芝居にかける情熱は、いつ見ても尊敬しています。命がけで向かっている姿は、本当にすごいなと感じます」

獅童「新作歌舞伎をやらせていただくなかでも、伝統、古典というものをしっかり守りながら、攻める気持ちは忘れたくないと思っています」