毎週金曜の深夜、テレビ東京系列で個性的なドラマの数々が放送されている。それが「ドラマ24」だ。単なるドラマの枠を超えた存在の番組として、人気を集めている。10月で10周年を迎えたこの「ドラマ24」は、どんないきさつで始まったのか。“生みの親”ともいうべき、テレビ東京の岡部紳二ドラマ制作部長に聞いた。
「この企画が出てきた10年前、テレビ東京では、ゴールデンタイムに連続ドラマを手がけても、なかなかうまく長続きしませんでした。その原因は、俳優さんとの関係性、制作会社さんとの連携体制、原作者とのネットワーク、すべてが整っていなかったせいだったと思います。当時、開局40周年の節目だったこともあり、ドラマ制作に本腰で取り組もうという動きがあり、まず深夜からそれを始めようという流れになりました」
深夜のため、予算はゴールデンタイムの半分以下というのが通例。そのために取ったのは、放送後にDVDなどを製作し、二次使用も含めたビジネスにするという方法だ。
「なので最初から、放送だけでなく、DVDやその先まで考え、売れる商品を作るのが僕らの使命です。そのため、マニアックなファンに訴求する原作や、気鋭の監督、キャストが関わる作品が重要になってきました。深夜ということで、その辺も冒険できるのが、ありがたいですね」
近年は、園子温、福田雄一など、気鋭の演出家や脚本家が次々と参加。キャストも若手だけでなく、ベテランやクセの強い個性派俳優が登場し、独特の世界観を生み出している。その功績と内容が評価され、第52回ギャラクシー賞では特別賞も受賞した。
「10年、よく続いたなと(笑)。いまや僕らも何が出てくるか予想できない状態です。放送前に『オールラッシュ』と呼ばれる、音楽などがついていない状態の映像を見て、どう受け止めていいのかわからずシーンとしてしまうことも(笑)。スーパーシュールな『勇者ヨシヒコと魔王の城』(’11年)なんて、まさにそうでした」
しかしそんな作品のほうが、男女を問わず、幅広く支持されることが多いという。
「コメディ、お色気、シュール、何でもアリがこの枠の魅力。ここまでやっていいのかとドキドキすることもありますが(笑)、熱量や密度はとても濃い。これからも、ほかじゃできないことをやりたいクリエーターやキャストのみなさんに手を挙げてもらい、見る方が『次は何を?』と思っていただけるものを作れれば」