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「おかげさまで去年は芸能生活55周年を迎えました。お芝居でいろいろな人生を演じると、気持ちが若返っちゃって。大変なこともあるけれど、苦しみを乗り越えるたびに、その乗り越えたパワーが自分に返ってくると思うんです。全部自分の肥やしになり、自分が磨かれていく。すべては好奇心と前向きな気持ちですよね」

 

そう語るのは、東京・Bunkamuraシアターコクーンでミュージカル『スーベニア SOUVENIR~騒音の歌姫~』を上演中の三田佳子(74)。

 

何歳になっても好奇心を失わないことが若さの秘訣だ、と微笑む。

 

「私は(どんな役に挑むときも)毎回真っ白なキャンバスに戻ってしまって、また一から絵を描くという気持ちになるんです。長くやっているのにベテランになれなくて、いつもどこから始めればいいのかしら、やれるのかしらとドキドキしますし。もし私が少しでも惰性で芝居したり、ベテランだからこれでいいのよ、みたいなことをしたら、きっとうまくいかないと思います」

 

今回、三田が挑んでいるのは、アメリカに実在した“音痴”のソプラノ歌手、ジェンキンス。40歳半ばで夫と離別してから、莫大な資産を背景に、歌の道に生きる決意をした実在の人物。76歳で世界最高峰のカーネギーホールでリサイタルするまでの30年間を描く。

 

「何で(この仕事を)受けちゃったんだろうと本当に思っています(笑)。まず年齢が私にピッタリ。まだ若い人だと、この役は難しい。40代なら何とかできても、70代というところのリアリティを創らないといけないでしょ。私は70代だから、そしてこんなに元気だから、無理におばあさんにしなくてもいい。肉体的な変化は何かを身に着けて30年間の差を出そうと。あと、やはり実在の人物だというところが魅力的で、惹きつけられちゃった。

 

何しろ本当の話だから。天然で、どこまでも自由で束縛されない。悲しいことは悲しいこととして受け止めるんだけど、それすらもサラッとかわしていく女性。歌の音程がものすごく狂っているのを知らないがごとく、人生が狂うのも、ね。苦しいときがあっても、『それはそうかもしれないけど、やっぱり私は大丈夫』、そういうところがやればやるほど見えてきて」

 

わざと下手に歌うのは難しい、と笑う。

53歳年下の京本大我とのキスシーンにも挑戦している三田。

 

「出会いが人生をどう変えていくか。お客さんもそれを見て、もっと楽しんで生きなきゃねって思うと思います」

 

3月6日まで東京・Bunkamuraシアターコクーン、3月9~10日に大阪・サンケイホールブリーゼで上演。(佐藤博之)