「小さいころから、いつもシャンソンが流れてたの。フランス語はわからないけど、マネして歌ってたらお父さんが『発音が違う』とか言って、習いに行かせてもらって。いろんな歌を歌って、楽しかった。私はとても楽しい人生だけど、歌詞の中で暗い人生を送ったり」
そう語るのは、隔週連載『中山秀征の語り合いたい人』第59回のゲスト・料理愛好家の平野レミさん。何度もテレビで共演しているという2人の対談は終始にぎやかでした。
中山「レミさんは、もともとシャンソン歌手でいらしたんですよね」
平野「日航ホテルのシャンソン歌手のオーディションを受けたら、受かっちゃったのよ。それで日航ホテルで歌ってたら、コロムビアレコードから『シャンソンのレコードを出しましょう』と言われて。喜んでたら、歌謡曲になっちゃって、4枚目には『カモネギ音頭』という歌も歌ったわ」
中山「歌謡曲というより演歌っぽくなって」
平野「そしたら今度は『日活の映画をやらないか』って言われたから、もうやめちゃった。シャンソンを歌いたかったから。もう全部やめて『楽しい芸能人生活だったな』ってしばらく家にいたら、TBSから電話がかかってきて、『ラジオのオーディションを受けないか』って。行ってみたら、みんなが『え?』って感じで、なんだろうと思ってたら、辺見マリさんと間違えて連絡しちゃったんだって(笑)。結局受かって、久米宏さんとのラジオ番組が始まったの」
中山「なんとも不思議な流れです」
平野「それでよ!それでよ!久米さんと和田さん(夫でイラストレーターの和田誠)が仲よしだったのよ。それで、和田さんがラジオを聴いてて、私をいいなと思ったんだって。そんな浮っついた男じゃなくて、マジメなマジメ人なんだけど、『この人を逃したら一生独身だな』と思うくらいに、いいなと思ったみたいで、久米さんに『平野レミを紹介してよ』って。でも久米さんは『絶対に紹介できない』って返事を」
中山「それでも、久米さんが紹介して出会ったんじゃないですか?」
平野「それがしなかったのよ。和田さんに聞いたら『あれはやめといたほうがいい』って言われたって、失礼しちゃうでしょ。それで、TBSの人に頼んだら『構わないけども、責任は負いませんよ』って(笑)」
中山「どんな評判があったんでしょう(笑)」
平野「おかしい人みたいな感じだったんじゃないかな。子供のときも学校で『レミちゃん酔っぱらってるの?』って言われてたから。でもね、会って1週間後に結婚したの」
中山「普通だったら、友達にそこまで言われたら引いちゃいそうですけど。太い赤い糸だったんですね。それにしてもすべてに筋書きがあるような展開ですよ」
平野「おかしいでしょ。なんか導きみたいなものがあるのかしら。失敗しても、それは訓練とか修業なのかもしれないしさ」