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「初回の放送は’87年6月ですから、ついに30年目に突入したことになります。当時33歳だった僕もいまや62歳。人生の半分もこの番組に携わり、番組とともに生きてきた、そんな気がしています」

 

そう話すのは、俳優の石丸謙二郎(62)。毎週月曜日から金曜日の夜23時10分〜23時15分に放送されている紀行ミニ番組『世界の車窓から』(テレビ朝日ほか、関東地区など一部地域)。

 

世界各地の鉄道を取材し、窓から見える美しい情景を紹介するこの番組は、多くの人々に癒しを与え続けてきた。今年5月2日には1万回を超えたが、これは昨年5月に1万回を迎えた『徹子の部屋』に次ぐ快挙なのだ。

 

1万回達成時点で訪れた国は104カ国、総取材距離は75万キロにもおよび、現地取材ならではのハプニングに見舞われることも多い。そこで、ナレーター石丸謙二郎が選ぶ名場面ベスト10を紹介。

 

■アフリカで見つけた「列車の墓場」!(タンザニア)・’09年4月放送

『まるでジャンプ台?』というサブタイトルで、列車が高い場所から捨てられる様子を放送。

「その光景が、まるで『列車の墓場』みたいに見えたんです」(石丸・以下同)

 

■断崖絶壁を走る列車の“特等席”は屋根!?(エクアドル)・’94年4月放送

列車のなかに乗客が誰もいないと思ったら……、大人も子供もみんな屋根に!車掌も勧めていた乗り方だが、崖に落ちて亡くなる人もいたため、その後に禁止となった。

 

■市場のど真ん中を列車が走る!(ペルー)・’96年7月放送

1日1本しか列車が通らないこの地では、列車が走らない時間は線路の上にまで市場が広がる。列車の汽笛で見事にはけるテントたち。通りすぎるとまたまた見事に元どおりに。

 

■美女が捨てたゴミが石丸の顔面を直撃!(中国)・’96年1月放送

同じ車両に乗っていた美女を眺めていたら、顔面にお弁当のフタが直撃!彼女が窓から捨てたゴミが飛んできたのだ。

「日本じゃありえないことも起こります」

 

■連結器が外れて客車が置いてきぼりに!(アルゼンチン)・’89年5月放送

蒸気機関車が客車を置いたまま走り続けるという珍事件が。全然気が付かない運転士もスゴイが、乗客たちもまったく怒らず、笑いながら機関車が戻ってくるのを待っていた。

 

■いまはもう乗れない「薪で走る蒸気機関車」(パラグアイ)・’92年3月放送

南アメリカには、石炭ではなく薪で走る蒸気機関車が!

「薪だとパワーが出ないから、どんどんくべなくちゃいけない。珍しいけど、いまはもう走ってないそうです」

 

■スタッフの息も涙も凍る北極圏紀行(スウェーデン)・’06年5月放送

過酷なロケも多いが、真冬の北極圏、氷点下28度で撮影したことも。吐いた息が凍る極寒だが、車掌はなんと半袖1枚!彼らによれば「列車のなかは暑くて仕方がない」と。

 

■運転士が煙突でバーベキュー(アルゼンチン)・’07年5月放送

あれっ、煙突のなかに、針金でつるされた大きな肉が!実はこれ、運転士がバーベキューを楽しんでいたそうで、匂いをかぎつけた乗客たちも、分けてもらって喜んでいたという。

 

■「タダ乗り」が子供たちの遊びに(インド)・’08年7月放送

元気な子供たちが遊び感覚で、走っている列車に飛び乗ったり、飛び降りたり。

「列車がどこで速度を落とすのかとか、知り尽くした子供たちだからこそできるんだよね」

 

■マサイ族は“乗車賃無料”でした(ケニア)・’91年4月放送

列車が止まったと思ったら、ヤリを持ったマサイ族の一行が。実は彼らはタダで列車を利用することができるという。震える映像から、撮影スタッフの緊張ぶりが伝わってきた。

 

石丸は、30年目に突入した『世界の車窓から』を振り返り、こう語る。

 

「ライフワークって言葉があるけど、僕にとって『世界の車窓から』はライフホビーかな。番組をこれだけ長く続けられたのはいい意味でのマンネリ感があるからだと思っています。変わったことといえば僕の声が少し大人になったことくらいですかね。だからこれから先も何も変わらずに続いていくのだろうなぁって思います。もし僕がいなくなっても続けてほしいですね」

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