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視聴率20%超をキープする、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』。残り3カ月は待望の“編集者・常子”の登場となるが、モチーフとなった大橋鎭子さんと『暮しの手帖』編集部について振り返ってみたい−−。

 

『暮しの手帖』を発行部数100万部に押し上げた大ヒット企画の一つに、あらゆる日用品や電化製品を徹底的に調査する「商品テスト」がある。同企画を担当していた元編集部員の小榑雅章さんが話す。

 

「商品テストで高評価を受ければその商品はよく売れましたが、低評価なら会社の存続に影響することさえある。だから、どのメーカーの商品も公平に、そして徹底してテストをしていました」(小榑さん・以下同)

 

編集部は商品テスト用の研究室をつくり、こだわりのテストを続けた。小榑さんが担当した企画でもっとも苦労したのは、掃除機のテストだ。

 

「各社の掃除機を平等に比較するためには、同じゴミを吸わせないといけません。何を吸わせるかで悩みました」

 

小麦粉で試したがうまくいかず、ならば本物のゴミを集めるしかないと考えた。

 

「ニュータウンの高島平(東京都)に行って、『ごめんください。掃除機をきれいにしますので、中のゴミをください』と団地を一つ一つ訪ねまわりました。すでに有名ページだったので、多くの人が協力してくれました(笑)」

 

数百世帯のゴミを持ち帰り、ふるいにかけた。

 

「いちばん細いゴミを敷き詰めて畳おもてを掛け、どれだけ吸えるかを比較しました」

 

また、トースターの商品テストでは、焼け具合、耐久性、残ったパンくずを取り除く際の手間などを比較。使った食パンはなんと4万3,000枚!

 

火のついた石油ストーブをわざと倒して消火するというテストでは「石油ストーブの火は水で消火できる」との結論を出した。当時は「毛布をかけた上で水をかける」消火方法を東京消防庁が推奨していたので、反響を呼び、公開実験がテレビで伝えられるなど大論争に発展したという。

 

こうした“闘う企画”を続けられたのも、編集長の花森安治さんが、「雑誌に企業の広告を入れない」と決断をしたおかげだ。舌鋒鋭くタブーに切り込んだのには、理由があった。

 

「花森さんと鎭子さんは、戦争を知っています。商品テストは、かつて国家にだまされた“反省”から生まれたページなのです。われわれ庶民は、国や企業などの“大きな存在”を簡単に信じるべきではないと、伝えたかったのだと思います」