連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の第22週は、『あなたの暮し』の商品試験が家電製品などを扱うようになり、社員だけで試験をこなすのが難しくなっていた。常子(高畑充希)は、康恵(佐藤仁美)が集めて来た主婦仲間の協力を得て、アイロンの商品試験を本格的に始動する。10名の主婦たちが1日50枚のワイシャツにアイロンを掛け、取っ手の持ちやすさや重さ、細かい部分のシワの伸ばしやすさなど、主婦たちの意見を聞きながら具体的な試験項目を決めていく常子たち。
多忙な日々を送る中で、星野(坂口健太郎)への思いを断ち切ろうとする常子(高畑充希)だったが、料理記事の監修をする宗吉(ピエール瀧)を訪ね、キッチン森田屋で偶然、星野一家と出会ってしまう。青葉(白鳥玉季)から「次はいつ来てくれるの?」と聞かれた常子は、返す言葉も見つからない。星野は「常子さんはお忙しいから、無理を言ってはいけないよ」と青葉を諭す。事情を知らない宗吉から星野の家に行けない事情でもあるのかと聞かれた常子は、何も答えられず、その場を後にしてしまう。
ある日の夕方、星野が帰宅すると、亡き妻の父親・弓岡(志賀廣太郎)が突然訪れる。弓岡は、星野にそろそろ再婚を考えてもよいのではないかと話しを切り出すと、加奈子が亡くなる間際に残した言葉を伝えに来たという。「子供にも母親がいたほうがいい。だから、もし数年経ってもあの人が独りだったら、再婚するように勧めて欲しい」と。星野は亡き妻の思いを知り、心が揺れるのだった。
『あなたの暮し』では、数ヶ月に及ぶ試験を終えた。花山(唐沢寿明)は、常子たちが作成した資料をもとに原稿執筆に取り掛かる。やがて完成した原稿は、アイロンの持ち手の部分が熱くなりすぎる商品が多く、危険であること。とくに「アカバネ」というメーカーのアイロンについては、完全な設計ミスであると酷評した。花山の原稿に大きな手応えを感じる常子。家事のベテランである主婦の腕前と読者に近い目線からの意見に重要性を感じ、「主婦限定のテスター」を募集することを発案する。アイロンの商品試験の記事が掲載された雑誌の最新号は、30万部を超える売上げを記録。「テスター」の募集には、全国の主婦からの応募が殺到した。
そんな折、星野の娘・青葉から助けを求める電話がかかる。兄の大樹(荒井雄斗)の具合が悪いので常子にすぐに来て欲しいと頼む青葉。常子は、急いで星野家に向かう。そのころ、『あなたの暮し』の記事に憤怒する男がいた。その名前は、赤羽根(古田新太)。安価な商品を売る気鋭の電機メーカー社長だ。
星野宅に駆けつけた常子は、青葉の誕生日を祝う星野と元気いっぱいに笑う大樹の姿を見つけ、驚く。青葉から来た電話は、自分の誕生日に常子を呼ぶための嘘だった。
大樹の無事を心から安堵し、青葉の気持ちを汲む常子。星野は、そんな常子の姿に胸を打たれる。青葉の誕生会は、常子も加わり楽しく過ぎる。星野宅を後にする常子に、星野は語り始める。「僕はもう、常子さんに会わないほうがいいと思っていました」と。亡き妻への後ろめたさから、自分の気持ちに蓋をしていた星野は、初めて常子への想いを告げる。「もっと会えませんか、もっと話をさせてもらえませんか」と星野。戸惑う常子だったが、「もっと大樹くんや青葉ちゃんと一緒にいたい。星野さんとも一緒にいたい。だけど、星野さんはまだ亡くなった奥様のことを愛していらっしゃるだろうから、きっとご迷惑だ、と……」とあふれる思いを星野に吐露する。すると、その言葉を遮るように常子を抱きしめる星野。常子も星野の背中にそっと手を回すのだった。
『あなたの暮し』では、読者からの要請を元に電気釜の商品試験を始める。当時、電気釜の価格は大学卒の初任給の半月分。高額な製品にもかかわらず、主婦が飯炊きに費やす時間が格段に減ることで人気を博していた。そのころ、電機メーカー「アカバネ」の社長室では、社員から次の商品試験が電気釜のようだと報告される。電気窯は、赤羽根電機製造とって、アイロンや洗濯機とならぶ主力商品。また粗悪品と酷評されては会社にとって大きな損失を招く、と村山(野間口徹)と酒井(矢野聖人)。社長の赤羽根は、「そういう記事は書かせないようにしろ!」と商品試験の妨害を指示する。
常子は、再び星野や子供たちとの幸せな時間を過ごし始めていた。星野は、常子が雑誌作りを始めた理由を尋ねる。女性の役に立つ雑誌を作りたかったと話す常子に、星野は、「自分の夢を持てたのですね」と微笑む。かつて、いつも家族や他人を優先し、自分のことは後回しだった常子を知る星野は、今、常子が自分の夢を追っていることを心から喜ぶのだった。会社で電気釜の商品試験が順調に進む中、ある日、赤羽根の部下・村山と酒井が突然、「あなたの暮し出版」に現れる。電機釜の商品試験では自社製品を酷評しないでほしいと涙ながらに懇願する2人に困惑する常子。花山(唐沢寿明)は「泣いている暇があったら、商品開発でもしたまえ!」と一喝し、追い返す。ビルの外では、去っていく村山たちと「あなたの暮し出版」を見つめる謎の男(石丸幹二)の姿が……。
会社帰りに、星野宅で過ごす常子。青葉が常子の家に遊びに行きたいと言い、大樹も乗り気だ。常子は、「ぜひ、いらしてください」と応じる。帰宅した常子は、君子(木村多江)と美子(杉咲花)に星野親子を自宅に招くことになったと報告する。大歓迎だと言って喜ぶ君子たちは、鞠子(相楽樹)の家族や、美子の恋人の大昭(上杉柊平)も呼ぼうと計画する。
そんな折、赤羽根電器製造の村山と酒井が再び、『あなたの暮し』にやって来る。「本日は、我が社の誠意をお見せしようと思って」と、風呂敷包みを常子たちの前に差し出す。金策で試験の評価を操作しようとする村山たちに、「バカにするのもいい加減にしてください!」と怒りを露わにする常子。村山は、「拒んだことを後悔することになる」と言い残し、去って行く。「アカバネ」の電機釜は安価ではあるが問題が多く、会社の姿勢に問題があるのではないかと常子は疑い始める。
数日後、小橋家には、星野家、水田(伊藤淳史)家、大昭の姿があった。大勢で食卓を囲んだ常子たちは、こんなににぎやかな食事は、昔、深川の森田屋で過ごしたころ以来だと話し合う。目を細めて喜ぶ君子。すると、突然、突然石が投げ込まれる。同じ日に花山の家にも投げ込まれたことを聞き、常子たちはアカバネを疑う。仕事が終わると、周囲の様子をうかがいながら一緒に行動する常子と社員たち。そんな物々しい様子を、あの不審な男が見つめていた。
常子は、星野の家を訪ね、投石事件について報告すると、星野たちにも危害が及ばぬようにしばらく星野家に近寄らないと話す。立ち去る常子の背中を見つめ、思わず抱き寄せる星野。石を投げ込まれる嫌がらせは続き、被害は社員全体に広がっていた。しかし、アカバネの仕業という確証がなく、対処できない。そんな中、赤羽根が直々に「あなたの暮し出版」に乗り込んでくる。社員の村山と酒井の非礼を詫びに来たと言いつつも、明らかに偵察だった。投石の件に話が及ぶと、常子たちをあざ笑うかのように挑発する赤羽根。「あれだけ他の会社の製品にケチをつけてりゃあ、恨みを買って当然でしょう」と。商品試験で酷評することをやめるよう圧力をかける赤羽根に対し、常子は戦う姿勢を見せる。「私たちは屈しませんから。何をされようが、私は社員たちを守り抜いてみせます。どんな卑劣な行為にもとことん戦っていくつもりです!」と常子。赤羽根は「社員を守りたいのは私も一緒だ」と吐き捨てるように言うと、去って行った。更なる嫌がらせを恐れる社員たちを見て、花山は「ジャーナリストとしての誇りを持て。ペンは剣よりも強い!」と鼓舞する。
ようやく電気釜の商品試験は終了。「アカバネ」の製品は欠陥が多く、最低ランクの評価を得た。常子は、星野から週末に子供たちと一緒に動物園に行こうと誘いを受ける。一抹の不安を感じながらも、ひさびさに星野親子と過ごせることを楽しみにする常子。同じころ、赤羽根は新たな行動に出ようとしていた。
第23週の『とと姉ちゃん』は、「常子、仕事と家庭の両立に悩む」。常子(高畑充希)は、星野(坂口健太郎)たちと動物園に行く約束をする。約束の日前日、常子が印刷所に連絡すると、「花山(唐沢寿明)の代理だと名乗る社員から原稿を捨てて欲しいと指示された」と言われる。その対応に追われる常子は、動物園に行けなくなったことを星野に伝える。だが、星野の娘・青葉(白鳥玉季)に「おばちゃまの嘘つき」と言われてしまう。そんな中、新聞記者と名乗る国実(石丸幹二)が現れ、商品試験は公平性がないと難癖をつけてくる。一方、電化製品メーカー社長・赤羽根(古田新太)は、商品試験をやめさせるよう部下の村山(野間口徹)たちにハッパをかける。そんなある日、星野に転勤の内示が出る