連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の第24週は、『あなたの暮し』が行う商品試験に対して、家電量販店の半数近くが実験の方法に疑問があると報じられた常子(高畑充希)たち。国実(石丸幹二)が仕掛けた騒ぎは次第に大きくなり、世間ではその真相について騒ぎ始めていた。この騒ぎを煽り立てるように、国実が常子の元に現れる。

image国実は、密室ではなく公の場所で自分たちの試験結果の真偽を公表すべきではと持ちかける。挑発には乗らないという花山(唐沢寿明)。追及の手は緩めるつもりはないと詰め寄る国実に、自分たちの力だけで信用を取り戻してみせると一蹴する。しかし、常子は読者から来る励ましの便りや悔しいという声に応えるため、公開試験に同意することを決める。公開試験まで2ヶ月を切り、「あなたの暮し」出版では洗濯機の商品試験が佳境を迎えていた。そんな折、美子(杉咲花)は、キッチン森田屋に鞠子(相楽樹)や康恵(佐藤仁美)たちを呼び、主婦の一日の時間の使い方ついてのアンケート調査に協力して欲しいと頼む。電化製品が家庭に入り始めたことでどれくらいの時間が短縮されているのかを詳細に調べるためだ。一方、赤羽根たちは自社の電化製品が消費者に支持されているのを目の当たりにし、公開試験で勝利を確信していた。

公開試験まであと数十日。「あなたの暮し」では地道な試験を続けていた。試験終盤にさしかかったある日、常子たちはある洗濯機の重大な欠陥を発見する。

imageそして、いよいよ公開試験当日。国実の新聞社にアカバネを含めたメーカーと「あなたの暮し出版」が一同に会する。国実の進行で、各自の試験内容を公表していく。対象は洗濯機。常子たちの試験は、各メーカーの専門的な方法には及ばない素人感覚のものが多く、会場に冷笑が広がる。しかし、生地の傷み方に関して注目すべき点が見つかったと発言する常子。試験用の布を使って洗浄力のテストをしているメーカーに対し、常子たちは実際の洋服でテストを行っている。それゆえ、渦の力が強すぎるメーカーの洗濯機はナイロンなどの合成繊維の服が破れてしまうこと。また、付属のローラー式脱水機でボタン付きのシャツを絞ると、すべてのメーカーの製品でボタンが引っかかり、脱水後にボタンが割れてしまうといった問題点が見つかったのだ。騒音や振動、耐久性などの試験について、自社の試験がいかに厳しく行われているかをアピールするメーカー各社。しかし、常子たちの生活に根ざす素人ならではの視点で実直に一年続けた試験結果が、次第に赤羽根たちを追い込んでいく。

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「あなたの暮し」の試験は、ただのアラ探しだ。常子に向かって赤羽根が怒鳴る。国実は、常子たちの試験に虚偽はなく、むしろ使用者の目線に立って行われた公正な結果だと指摘する。美子が行った1000人のアンケート調査の結果からも、洗濯機や炊飯器などの電化製品が主婦を解放してくれているのは間違いないと断言する常子。「だからこそ、メーカーの方々には、志を持って作って欲しいと思います」と一喝する。赤羽根は、消費者が欲しがるから安い商品を提供しているだけで、買ったあとの責任は消費者にあると主張する。一方、常子と花山は、家族を思う立場になって考えてみると、一番大切なのは不具合のない安全な製品を作ることなのではと反論する。せっかく便利な家電を手に入れても、不良品で壊れたり、それが原因で怪我をしたら、「ささやかな幸せが奪われてしまう」と常子。そして、赤羽根に商品試験中に発見した決定的な事実を公表する。

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アカバネの洗濯機のプラグに使われているネジは、鉄ネジをメッキで真鍮に見せかけていた。発火の恐れもあり、規格違反だと詰め寄られ、焦る赤羽根。部下の村山(野間口徹)に追及するするも、低予算のなかで精一杯やってきただけだと反論される。その場を立ち去る赤羽根を尻目に、国実は、この日の公開試験についてありのままを記事にすると常子たちに宣言する。「あなたたちの信念も少しは理解できるような気がする」と。

公開試験を無事終え、洗濯機の商品試験の記事が掲載された最新号が発売される。安息の日々を取り戻す常子たち。新聞に載った公開試験の記事によって『あなたの暮し』は世間の信頼を取り戻し、売上も伸びていった。そんな折、宗吉(ピエール瀧)と照代(平岩紙)は南(上杉柊平)にキッチン森田屋を継いでくれないかと申し出る。礼を言った南はそのまま美子にプロポーズ。「俺のためにおみおつけを作ってくれないか?」という突然の告白に、最初は理解できなかった美子だったが、プロポーズだとわかると素直に受け入れる。

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鞠子や水田(伊藤淳史)とともに美子のお祝いすることになった常子たち。宗吉の店を継ぐことを決意した南と美子は、これから物入りになるので披露宴をしないという。美子と南の馴れ初めを聞き、温かい笑いに包まれる小橋家。やがて新居の話になり、美子が家を出ると、常子と君子だけになることを鞠子が心配する。水田は、いつか常子が家を建てたとき、自分たち家族も一緒に住まわせて欲しいと話を切り出す。すると、「俺たちもいいですか?」と南。君子は、みんなで暮らせるなんて夢みたいな話だと目を細めて喜ぶ。

そこへ、音信不通だった叔父の鉄郎(向井理)が嫁の幸子(岩崎ひろみ)を連れて現れる。驚き、呆気にとられる一同。新潟の魚沼で米農家として暮らしているという鉄郎は、常子たちの雑誌『スタアの装ひ』が本屋に並ぶのを心待ちにしていたという。公開試験が載った新聞で、『あなたの暮し』が常子たちの雑誌だと知ってやってきたのだった。

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「みんなが元気そうで何よりだ」。祝いの場を手前勝手にかき乱す鉄郎。鞠子が昔、闇市で顔見知りだった水田と結婚したと知り不満げだったが、水田の膝の上にいる子が鞠子の娘・たまきだと聞いて目尻を下げる。さらに、美子と南が今度結婚することになり、ちょうど家族で祝っていたところだとわかると、祝いの品を買ってくると飛び出していった。幸子から新潟での暮らしぶりを聞き、鉄郎と一緒では苦労が多いだろうと心配する常子たち。すると、幸子は、鉄郎には感謝しっぱなしだと言い、幸子の兄がハタハタ漁の事業で失敗して多額の借金を抱えたとき、家も土地も取られそうになったところを助けてくれたのが鉄郎だったと説明する。「おかげで借金も返すことができたんです」という幸子の言葉に「あのおじさんが……」と信じられない思いの鞠子。

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酒を買って戻って来た鉄郎は、まずは挨拶だと言って立ち上がると、兄・竹蔵(西島秀俊)にも、今日の家族の姿を見せてやりたかったと語るのだった。竹蔵亡き後、自分なりに君子や常子たちを支えたいと思ってきたが、結局何もできなかった、と君子に詫びる鉄郎。かつて小橋家の米を食べ尽くしたお詫びだと米を土産に渡す。君子はこちらこそ助けられたとお礼を言う。常子は、10数年前、鉄郎が去った後に発売した『スタアの装ひ』の2号を鉄郎に見せる。「それがあるから、今があるんです」と常子。夢が叶い、会社もうまくいっているが悩みは尽きないと話す常子に、悩みのない人間なんていないと励ます鉄郎。「どうしたもんじゃろのぉ〜があるから、人生、楽しいんじゃないか」と。農家に休みはないと慌ただしく立ち去る鉄郎は、常子たちのことはずっと見守ってやると言い残し、「またな」と別れを告げる。その晩、常子はひとり、鞠子と美子を嫁に出すという家訓を見つめ、思いにふける。

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第25週は、常子(高畑充希)は、最後の目標である大きな家を建て、鞠子(相楽樹)や美子(杉咲花)の家族と3世帯9人で同居していた。『あなたの暮し』は順調に部数を増やしていく。そんな折、君子(木村多江)が突然倒れる。医者から残酷な現実を告げられ、常子たちは動揺を隠せない。何かを察した君子は、自宅での療養を求める。花山が君子を見舞いにやって来る。君子は、常子にとって本当に良かったのかと考えてしまうと告白する花山に、常子は幸せだと応える。それから8年の歳月が流れ、21歳となったたまき(吉本実憂)は、「あなたの暮し出版」で働きたいと宣言するが…。

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