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今までないリアルな妊活ドラマという触れ込みで始まった、フジテレビ系木曜10時の「隣の家族は青く見える」。

 

「生々しい」「リアル」という声があるいっぽうで、多くの不妊治療経験者からは「ピンとこない」などという意見が数多く上がっている。

 

■ピンとこない理由1「周囲の人々のデリカシーがない」

 

妊活は経験した人にしかわからない精神的なつらさがつきもの。ゆえに不妊治療者や周囲の人々は、言動には慎重になっているはずだが……。

 

「私は今まで3つのクリニックに通いましたが、どの先生も『不妊症』という言葉を使わずに症状を説明してくれました。わかっていても、もし目の前で先生に言われたら、ショックだろうな」(20代女性)

 

1話で深田恭子さん演じる主人公の奈々にクリニックの医師が「検査するまでもなく不妊症です」と告げるシーンがある。

 

病院によってはズバリ現実を提示する医師もいるものの、この宣告に違和感を覚える方も多いようだ。

 

「マツケンよぉ、会社の同僚に不妊治療していることを喋らないでーーー」(30代女性)

 

松山ケンイチ(33)演じる夫・大器は時折、会社の後輩に夫婦の不妊治療について話している。だが同じ悩みを持つ友人や家族ならまだしも、若い後輩に他人に夫婦のデリケートなことを軽々しく話すのは妻にとって気持ちのいいものではないはず。

 

奈々が苦しいときに寄り添ったり「いつか俺たちの所にも絶対(赤ちゃん)来てくれる」と元気づけたりしていても、このディテールのおかげで大器がどこか軽薄に感じてしまうようだ。

 

■ピンとこない理由2「主人公たちに本気さが感じられない」

 

「医師の指示でいちいち戸惑いすぎ。タイミング法だけで簡単にできると思うなよ」(40代女性)

 

一般にはなじみの薄い不妊治療をドラマで扱う性質上、奈々がどこか無知であったり医師の指示にいちいち戸惑ったりするのはドラマ的に仕方のないこと。しかし本気で妊活について学び、大きな決意をもって治療院の門を叩いた人たちからすると、軽い意識と感じてしまう部分もあるようだ。

 

「生理予定日3日過ぎて気づくなんて、本当に妊活してるの?」(30代女性)

 

3話で奈々が、「アレ(生理)もう3日も来てない!」と驚くシーンがある。

 

妊活中は生理日・排卵日に一喜一憂するもの。アプリなどでカウントダウンしながら、その日をドキドキして待っている人が多い。奈々も毎日基礎体温をつけているほどの妊活中のはずだが……???

 

■ピンとこない理由3「成功が見えているから萎えてしまう」

 

不妊治療で一番つらいのは、先が見えないこと。そして頑張った人が頑張っただけ報われるものでもないことだ。

 

「挫折や苦悩がありつつも、最終的にめでたく授かるラストが見えてる」(40代女性)

 

「困難に見えるけど、実際はこんなすんなりいかないんだよなあ」(30代女性)

 

奈々夫婦は親の反対や夫婦間の意志の相違などはあるものの、双方特に問題なく治療が進んでいく。

 

それはそれで不妊症の厄介なところだが、治療を受ける夫婦の半数以上は検査や治療の過程で子宮筋腫や無精子症などの問題が発見されるという。また金銭上の困難などにぶつかり、回り道を余儀なくされているというのだ。

 

治療は順調に進んでも成功せず、別の新しい未来を選ぶことになった方も数多くいるとのこと。終わりの見えない中でもがいていた治療経験者からするとラストが想像できるスムーズなドラマ展開はどこか他人事に思え、歪んだ見方になってしまうのかもしれない。

 

ただ、直近放映の9話で奈々は初めての体外受精によって妊娠判定を得たものの初期流産という結果を迎えてしまっている。果たして多くの予想通りめでたく授かるのか、それとも別の未来が描かれるのか。最終回が見ものだ。

 

■「不妊治療」扱う貴重なドラマ、今後に期待

 

とはいえ、このドラマの妊活手順(結婚1年で妊娠せず→病院行く→検査する→タイミング法→人工授精→体外受精)がわかりやすいストーリーや「クロミッド(排卵誘発剤)とは〜」「不妊治療の助成金は〜」などと医師や奈々の口から説明される不妊治療のあれこれは、非常に勉強になるとの声も。

 

世の中の大部分である『不妊治療は自分とは縁のないものだ』と思っている人たちにとって、それが身近に感じる大きなきっかけになっているだろう。

 

現に実年齢より若く見える深田恭子さんが不妊に悩んでいる役というのは、多くの視聴者に衝撃を与えているようだ。今回、実際に話を聞いた治療経験者たちも「このドラマで一番リアルだ」と口を揃えていた部分だった。

 

不妊は他人事ではないということ。たとえ経験者がピンと来なくとも「隣の家族は青く見える」は、これから多くの人々の不妊治療に対する考え方を変える役割も担っているのではないだろうか。

 

<小政りょう>