「入院はしていましたが、頭はしっかりしていて、亡くなる前日まで家族と会話をしていました」

 

涙声で語るのは、赤木春恵さん(享年94)の孫で俳優の野杁俊希さん(29)。『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)の姑役で親しまれた赤木さんが東京都府中市の病院で逝去したのは11月29日のこと。1カ月ほど前から徐々に体力が低下し、最期は眠るように旅立ったという。生前の赤木さんが“私の宝物”と呼んでいた俊希さんは言う。

 

「祖母は最近、こんな言葉をかけてくれていました。『あせらないで、お芝居も人生も、あせってもいいことはないから。そして、何があってもくじけないでね』。亡くなる直前まで何回も言ってくれたのですが、祖母と同じように役者の道を歩んでいる僕へ、先輩として遺してくれた言葉なのだと思います」

 

赤木さんの長女・野杁泉さんによれば、10月31日に赤木さんが「いま、みっちゃんが“あやちゃん”って来たの」と語ったという。赤木さんの本名は小田章子、そしてソウルメイトとも呼んでいた森光子さん(享年92)は村上美津。2人は本名で呼び合っていた。

 

「母は『みっちゃんと潮を噴き上げる魚の話をしたの』と、言っていました。森光子さんとはハワイでホエールウォッチングをしたこともあるそうで、夢の中のことだと思いますが、その思い出話を2人でしたというのです」(泉さん)

 

赤木さんが森さんと出会ったのは’40年、慰問団(※戦地の兵士たちを慰問するための演芸派遣団)のトラックの上だったという。赤木さんは本誌に2人の友情についても語っていた。

 

《森さんとは、目を見ただけでお互いの心と心が通い合う。私にとって森さんは、この世に二人といない“心の友”です》(本誌’11年10月11日号)

 

夢での語らいは、旅立ちが近づいてきた赤木さんのために、天国からソウルメイトの森さんが訪れたということなのかもしれない。赤木さんの葬儀・告別式は12月4日に営まれた。葬儀委員長を務めたプロデューサーの石井ふく子さん(92)は言う。

 

「生前、赤木さんからは“私の葬儀は取り仕切ってね”と言われていたのです。赤木さんの“夢”ではハワイのお話も出たそうですが、赤木さんも森さんもハワイがお好きで。私も、よくお2人を現地でお見かけしました。共演舞台の休憩時間にはお2人でずっと話し込んでいましたし、舞台終了後にはいつも手をつないで、食事に出かけていましたね。12年に森さんが逝去された後は、赤木さんはベッドサイドに、2人で撮った写真を飾っていました」

 

天国で赤木さんは、迎えに来てくれた森さんと、思い出話に花を咲かせていることだろう。