その生活は、最後まで変わらなかった。前出の実家近くに住む女性はこう語る。
「一度、冗談で『娘さんがあれだけ稼いで、かなり仕送りしてもらってるんじゃない?』と聞いたことがあるんです。そうしたらお母さんは『いえ、娘には娘の生活がありますからね。私たちは、あの子のお金にはノータッチなんです』とおっしゃっていました」
あくまで慎ましく、飾らない生活を続けてきた両親。そんな夫婦像は、戸田のなかにもしっかりと根付いていたようだ。
「コロナ禍ということもあったのでしょうか。派手にも見える恋愛遍歴を歩んできた戸田さんですが、最終的には挙式披露宴の予定もなく家族たちに見守られるなかでの“地味婚”に落ち着いたそうです。
松坂さんはあまり物欲のない方で、ここ10年でいちばん大きな買い物が“10万円の時計”だといいます。もちろん、外で派手に遊ぶタイプでもありません。
戸田さんがそういうお相手をパートナーとして選んだのは、やはりご両親の姿を見てきたからだと思います。亡くなったお父さんからの『夫婦は飾らず』という遺訓は、彼女にもしっかり受け継がれていたということでしょう」(戸田の知人)
そんな父は、最後まで娘の幸せを願い続けていた。前出・実家近くの住人が言う。
「引っ越しの準備をしているとき、お母さんが家の前でたくさんの雑誌や新聞の切り抜きを整理されていたんです。戸田さんが芸能界デビューしたころから、お父さんがこつこつと保存していたものだそうです。
本当にお父さんは戸田さんの活躍がうれしくて、心から応援されていたんだなと感じましたね。たくさんの古い雑誌ひとつひとつから、娘を思う気持ちが伝わってきました……」
戸田は『non‐no』11年4月号で次のように語っている。
《大切にしているのは「すべてに感謝しなさい。おにぎりを一日一個しか食べられなくても頑張りなさい」という父の言葉。謙虚でいるのは当たり前のようで難しい。忘れたくない言葉です》
天国の父の言葉を胸に、戸田はささやかで温かい家庭を築いていく――。
「女性自身」2020年12月29日号 掲載