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育った場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代にはやったドラマや歌の話。同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょうーー。

 

松田聖子のデビュー2作目である『青い珊瑚礁』は’80年7月にリリース。グリコのアイスクリーム「ヨーレル」のCMソングに起用され、オリコン初登場87位ながら、2カ月かけて2位まで上昇し、ミリオンセラーを記録した。松田聖子をスターダムに押し上げた、初期の代表作である。

 

ジャケットを目にして、まずインパクトを感じるのが、物憂げなまなざしでこちらを見つめる聖子ちゃんのヘアスタイルだ。

 

「私が中学生のときにリリースされたのですが、クラスの女子の、私も含めて3分の2以上は“聖子ちゃんカット”にしていました」

 

こう語るのは、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん(53)。そうして小首をかしげ、「え〜、ヤダ〜」と甘えた声で話す“ぶりっ子”という新ジャンルを築いたのが、天地真理や浅田美代子、桜田淳子といった’70年代のアイドルと大きく違うところだと、牛窪さんは分析する。

 

「あははと笑いながら、グーにした手を口に持っていったり、賞をもらったときなど、何かあれば、必ず泣いてみせたり……。最近の田中みな実さんに代表される“あざとかわいい”の源流ともいえる、聖子さんの“ぶりっ子”スタイルは、お人形さんのようにかわいらしく、“ああいうコのことを、男子は好きになるんだろうな”と、当時の女子たちに強く印象づけました」

 

そのため、皆がこぞってヘアスタイルをマネしたわけだが、当然のことながら、誰もが聖子ちゃんになれるわけではない。

 

「クラスの男子の前で、聖子さんのような仕草やしゃべり方をするのは、やっぱり恥ずかしくて、なかなかできるものではありません。でも、なかには上手にマネするコもいて、それがモテたりするものだから、『あの子ズルいね、ぶりっ子しちゃってさ』なんていう、嫉妬が交じったフレーズも、教室ではよく聞かれました」

 

こうしたアンチも存在したことで、“ぶりっ子”はますます輝きを増していったといえる。少女の恋愛への憧れを強く表現したことも、同曲の人気の秘密だ。

 

「当時、バレンタイン・デーが盛り上がったのは、ふだんは女子から男子に“あなたが好き”と。なかなか言えない時代だったから。『青い珊瑚礁』で描かれているような、男性にリードされながら大人になっていく女のコのときめき、“好きって言っていいのかな……言っちゃうぞ!”みたいな、恋愛へ1歩踏みだす少女の思いが、多くの共感を得たのでしょう。恋愛は女性を成長させてくれるもの、どこか新しい世界へ連れて行ってくれる素晴らしいものであることを伝えてくれたのです」

 

ヘアスタイル、仕草、そして恋愛に至るまで、女子の価値観を変えたのが、松田聖子だった。

 

「女性自身」2021年2月9日号 掲載

マーケティングライター、世代・トレンド評論家

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