■「母親をハグする人がもういない」
そもそも俳優業に歩みを進めたのも、母親がキッカケだったと’14年10月の『+act.』のウェブインタビューで語っている。
《昔小さな劇団に入ってた母親がかなりの読書好きで、僕に『この本の○○が健ちゃんに似てるよ』とか頻繁に言ってくるんです。だから、本を読む時に自然と自分を投影するようになったりして、今思えば、そういうことが影響してるのかもしれない。演技というものをそこまで遠く感じてはいなかったというか》
坂口は数年前から母親に会うと必ずといっていいほどハグをするという。それはある出来事が原因だった。
’19年6月30日放送の『ボクらの時代』(フジテレビ系)で、坂口はこう語っている。
「もう親父がいないんで。だから、ふと気づいたときに『母親をこれからハグする人っていないな』と思ったんですよ。それで、僕は『会ったら絶対ハグしよう』って決めて……」
父の急逝について、坂口は今年3月18日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)でも、
「衝撃というか。すごく仲よしだったので。病気ではなかったんです。体が丈夫だったので、ビックリはしたんですけど……」
と語っていた。母親同様、父親も坂口にとってかけがえのない存在だったようだ。
「坂口くんが『父親似なんだ』と話すほど、お父さんもスラッとした高身長。お父さんの影響で洋服が好きになり、モデルを志す理由のひとつになったみたいです。2人で渋谷や表参道に行き、買い物をするのが、ほかの誰と行くときよりも楽しかったといいます。恋愛や仕事の相談もしていたそうです。
第一線で活躍するようになってからは食事に連れていったりプレゼントを買ってあげたりと親孝行もしていました。仲よしだからこそのけんかもたくさんしてきたそうですが、今ではいい思い出だといいます。ですから、お父さんが亡くなったときは本当にショックでご飯も喉を通らなかったそうです」(俳優仲間)
幸せな家族を襲った、父親の急死。それゆえ、“母親ファースト”を心がけるようになったと俳優仲間は続ける。
「大きな心の空洞を埋めるように、遺されたお母さんをより一層大切にするようになったそうです。そしてどんな役も全力で演じることが両親への恩返しだと信じているといいます」
母に惜しみなく愛を捧ぐ坂口。その姿を、天国の父も喜んでいることだろう――。