【前編】自殺や早世…十三代目襲名の海老蔵が背負う“市川團十郎の重圧と業”より続く
市川海老蔵から、十三代目を襲名! 百年に一人の逸材といわれながら、数々のスキャンダルで世間をにぎわす問題児が、歌舞伎界の大名跡を継ぐことになった。
11月7日、市川海老蔵改め市川團十郎白猿(44)の十三代目襲名披露公演が、歌舞伎座にて華やかに開幕した。「口上」に続き、厄落としになるといわれる市川家伝来の「にらみ」も披露。さらに家の芸である『勧進帳』『助六』では、團十郎が見えを切るたびに、
「成田屋!」
「十三代目!」
という「大向こう」(客席からの掛け声)が、満員御礼の劇場に響きわたった。
歌舞伎十八番の復活上演といった、市川宗家の古典を守ろうとする一方で、いまの時代にと、型破りな新作を公演し続ける十三代目。伝統を重視してほしいという苦言もあるが、そもそも歌舞伎はなんでもあり、これがオレの“傾き道”と、早世や重圧といった「團十郎の業」を蹴散らす心意気を見せる十三代目團十郎の今までとこれからを紐解いたーー。