■撮了後、三谷は「小池栄子さんの政子がいちばん本物に近い」
ダメ出しを受けた小池の反応はというと――。
「監督に意見する役者さんも少なからずいますが、小池さんの場合はすぐに『すいません』と頭を下げて毎回指示に従っていました。本心では思うところがあるのかもしれませんが、収録時間が押してほかの出演者やスタッフに迷惑をかけないよう、すぐ切り替えて撮影しています。その姿は本当にプロだと思います」(前出・NHK関係者)
小池を20代から知る舞台関係者は、こう語る。
「グラビアから女優に転身して間もないころ出演した舞台で、『お前の下手な演技のせいでチケットが売れない』と制作側に文句を言われ、“いつか役者として見返してやろうと思った”と話していました。小池さんは叱咤をバネにできる役者さん。『鎌倉殿』のスタッフの方々も彼女の気質を理解しているからこその“愛あるダメ出し”だったのだと思います」
本人が苦労してきたからだろう、小池は大河初出演の役者がクランクインすると、さりげなく近づき、緊張をほぐしていたという。
「新垣結衣さんや金子大地くんらに対してもそうでした。大勢の出演者やスタッフに囲まれてこわばる姿を見ると、『今日の屋台のカレーはおいしかったわよ~』などと明るい笑顔で話しかけていました」(前出・NHK関係者)
三谷はクランクアップ後、
「これまで描かれてきたどんな北条政子よりも、小池栄子さんの政子がいちばん本物に近いのではないかと僕は勝手に思っています」
と断言。ダメ出しを受け続けた“女王”小池のクライマックスの演技から目が離せそうにない。