小池栄子『鎌倉殿』制作陣からダメ出し連発で政子に苦悩…三谷に送った切実な“相談メール
画像を見る 三谷に悩みを打ち明けることもあったという小池

 

■三谷は《女性を描くのが下手な脚本家》と自虐を

 

いまや実力派女優の小池がこれほどダメ出しを受けることになった背景には、脚本家・三谷幸喜(61)の強いこだわりがあったという。

 

「歴史マニアの三谷さんは昔から鎌倉時代に興味があり、“日本三大悪女と称される北条政子は本当に悪女だったのか?”という疑問を常に感じていたそうです。三谷さんは18歳のとき、大河ドラマ『草燃える』の岩下志麻さん演じる北条政子を見て、“いつか政子を描きたい”と願っていたといいます」(前出・NHK関係者)

 

それから40年以上がたち、三谷はついに政子に挑む。だが、『鎌倉殿の13人 完結編』(NHK出版)でこんな本音を語っていた。

 

《僕は、女性を描くのが下手な脚本家として知られているので、今回こそは汚名返上したいと思い、女性スタッフの声を聞いて、『女性はこんなこと言わない』など、意見をなるべく取り入れさせてもらいました》

 

三谷が描いたのは、これまでの既成概念を覆す北条政子像だった。

 

「夫の源頼朝が死んだ後、弟・義時が闇落ちして独裁化。政子の長男・頼家が義時の刺客に暗殺され、次男・実朝も殺されるなど、愛する息子が次々に亡くなります。“冷徹な政子”を描くのが従来の演出法ですが、三谷さんは尼御台としての威厳を保ちながら母として抱えたであろう大きな苦しみを描く必要性があると考えたのです。そのため、感情的になりすぎず要所要所で怒りや悲しみ、葛藤をこらえる政子の姿を求めたといいます」(前出・NHK関係者)

 

小池は前出のインタビューで自身が受けた“ダメ出し”の一部についてこう語っている。 「今回ご一緒したチーフ演出の吉田(照幸)監督からも『ちょっとなー、今のつまんないなー』と言われることもありました。なかなかそう言ってくださる監督もいらっしゃらないので、吉田監督との出会いも私にとってすごく大きなものになりました」

 

制作関係者は言う。

 

「1年間、出演し続けた主要キャストは小栗さんと小池さん、あとは実衣役の宮澤エマさん、三浦義村役の山本耕史さんの4人です。なかでも三谷さんが強くこだわった政子を演じた小池さんには制作側が注文を出す回数が結果的に多くなってしまったんです。

 

基本的に三谷さんは現場に来ないので、台本を読んで迷ったら小栗さんも小池さんも三谷さんに直接メールして意見を聞いていました。小池さんは『緊張で眠れない』と三谷さんに悩みを打ち明けることもあったそうです」

 

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