■「襟を正す」「老けない」演技は山本の発案だった
山本へ悪役オファーが相次ぐ背景には大きく3つの理由があると語るのは、前出の制作関係者だ。
「確かな演技力に加えて、演出力が優れているんです。たとえば『鎌倉殿』で義村が噓をついたときに出る『襟を正す癖』の演技は実は山本さんのアドリブでした。三谷さんが彼の演技を見て、後の脚本に襟の演技を付け加えたほどです」
4日、各メディアのインタビューで山本はこう語っていた。
《義村と義時のお互いが引き立つような対比をつけるために、今回義村は一切の変化を作らないようにしていこうと僕が提案しました。大河ドラマでは普通はしわや白髪を足してどんどん老けさせるんですけど、義村はメイクも変えていないんです》
前出の制作関係者は言う。
「こうした創意工夫はどの現場でも同じで、常に制作側が求める以上のことを提案してくれる。その演出力が重宝されているのです」
また、山本は現場の空気作りにも一役買っているようだ。
「義村が公暁(寛一郎)を殺すシーンではリハーサルから緊張感はすさまじいものがありました。寛一郎さんとの立ち回りも直接指導し、納得いくまで続けてました。彼がスタジオに入ってくると、いい意味で空気がピンと張り詰めるんです。主演の小栗旬さんをはじめ、みんな信頼を置いていました」(NHK関係者)
だが、収録の空き時間は一転して雰囲気を明るくするという。
「ナプキンとフォークを使って、手品を見せて出演者の緊張をほぐしたり、北条家の皆さんが記念に家族写真を撮っている最中に割り込んで『俺も北条家だ~』と自分も写りに行ったり。おちゃめなんですよね」(前出・NHK関係者)