10月17日、俳優の西田敏行さんが亡くなった。享年76歳。病死とみられる。
数々の作品に出演してきた西田さんだったが、遺作となったのは米倉涼子(49)主演の人気シリーズ『ドクターX』の劇場版だった。
「西田さんは大学病院の院長という重要な役。米倉さん演じる大門未知子との掛け合いが見どころのひとつです。『ドクターX』は今回の劇場版でシリーズ終了となりますが、西田さんにとって非常に思い入れのある役だったようで、10月8日に行われた制作発表会見で『これでさよならするのかと思ったらちょっと寂しい気持ちになりました』『好きな役のベスト5に入ります』と話していました」(スポーツ紙記者)
西田さんの遺作となった『ドクターX』。その撮影現場を関係者が明かす。
「撮影は、23年9月ごろからスタートしました。ただ、脳脊髄液減少症を抱える米倉さんの負担を軽減するため1カ月という短期間で撮り終える予定でした。ところが、米倉さんの体調がすぐれず、撮影スケジュールは大きく遅延。23年内に撮り終えることはできませんでした」(映画関係者)
満身創痍なのは西田さんも同様だった。
「西田さんは01年、首の骨が変形して手足のしびれが起きる頚椎症性脊髄症を罹患。03年には心筋梗塞で緊急入院しました。16年には自宅のベッドから転落して頸椎亜脱臼。その直後には胆のう炎で胆のうを摘出。こうした病歴から近年は体調不安がたびたび取り沙汰されていました。
昨年の『ドクターX』の撮影現場でも車いすや杖が必須。出演シーンもほとんどが座った状態で、時短で撮影が進められました」(前出・映画関係者)
ただ、大俳優としての矜持を西田さんは忘れていなかった。
「西田さんは役者として現場に立つ以上、どんなことがあろうと周囲に気を遣われるのは本意ではないと考えていました。そのため、冗談を言ったり本番中もアドリブを連発したりと現場を盛り上げるのに徹していました。
主演の米倉さんとは、ともに健康不安を抱えながらも役者業に務める“同志”という思いもあったようです。あえて体調を深く聞くことはお互いにせず、撮影スケジュールの変更などのドタバタも乗り越えて終始明るい雰囲気で撮影は続いていました」(前出・映画関係者)
12月の映画公開を待たずにこの世を去った西田さん。しかしその演技はいつまでも私たちの心に残り続けるはずだ。