11月22日に集英社が運営するweb漫画サイト『となりのヤングジャンプ』で公開された読切漫画『さよならワンダーラビット』。しかし、Xでは、その内容が、’17年の映画『ブリグズビー・ベア』と酷似しているという指摘が相次ぎ、波紋を広げている。
※以下、『さよならワンダーラビット』ならびに映画『ブリグズビー・ベア』の結末について触れています。
『さよならワンダーラビット』は、漫画家・イラストレーターの小室悠貴氏が手掛ける読切作品。主人公である引きこもりの少女・ルナの唯一の心の支えは、幼い頃から親しんできた『ワンダーラビット』という宇宙を旅するウサギが主人公のテレビ番組。しかし、両親を事故で亡くし、知人家族の家で暮らすことになったことをきっかけに、実は『ワンダーラビット』は両親がルナのためだけに作った番組で、この世に存在しないことがわかって、大きな転換期を迎えることに――というストーリーだ。
いっぽう、’17年にアメリカで公開されたデイヴ・マッカリー監督のヒューマン映画『ブリグズビー・ベア』(’18年日本公開)は、主人公である外界から遮断された地下シェルターで25年間両親と生活する青年・ジェームズにとって、外の世界との唯一の接点が『ブリグズビー・ベア』という熊を主人公にした教育番組。しかし、この両親は本当の両親ではなく、赤ん坊の頃にジェームズを誘拐していたことが発覚し、ある日逮捕されることに。そして、『ブリグズビー・ベア』もジェームズのために、偽の両親が作っていた架空の番組であることがわかり――というあらすじだ。
2つの作品は、きっかけや設定が異なるものの、
・主人公が両親を失う
・両親を失った後に心の支えだったテレビ番組が偽物だと知る
・テレビ番組内の主人公がきぐるみ風の動物であること
など主要な設定がほぼ同じであることがわかる。また、番組が偽物だと知った後に、友人らと続きを撮影しようと奔走することや、『ブリグズビー・ベア』内に出てくる人面をした月とほぼ同じモチーフのキャラクターが『さよならワンダーラビット』にも登場するなど、似ている点が散見された。
なお、『さよならワンダーラビット』のクレジットには、『ブリグズビー・ベア』を原案にしたという旨の記載はない。そのため『ブリグズビー・ベア』のファンを中心にX上では、こんな指摘が上がった。
《オマージュとパクリの境界部分は完全に超えている気がします。これ大丈夫なんか…》
《作者さん的には『ブリグズビー・ベア』をパロったつもりなんだろうな。けど、これはさすがに誰が読んでもパロじゃなくてパクリに感じると思う》
《アイデアをブリグズビーベアから持ってきたならその旨を記載して欲しいです》
《ブリグズビー・ベアとの関連性について、作者・となりのヤングジャンプの両者は説明責任を果たして欲しい》
《さよならワンダーラビット、オマージュとかいう範疇超えててまじで表層全部ブリグズビー・ベアをなぞってて独自の良さがなくて、PVに加担してしまったのが嫌すぎる…》
そこで本誌は、『さよならワンダーラビット』をめぐるSNS上の指摘についての見解や公開された経緯を11月25日に、編集部へ問い合わせたところ、29日に集英社の広報部から次の回答が寄せられた。
「11 月 22 日(金)に「となりのヤングジャンプ」および漫画アプリ「ヤンジャン!」にて 公開いたしました特別読切『さよならワンダーラビット』については、 公開直後よりさまざまなご意見を数多く頂戴しております。
それらを受けてただちに協議しました結果、当該作品は、 配信にあたり編集部内での確認が十分でなかったと判断し、 本日付で公開を停止いたしました。 なお、判断基準の詳細については公開しておりません。」
また「となりのヤングジャンプ」公式サイト内でも29日昼までに、上記と同様の文章が掲載されていた。