■映画ファンに愛される賞として成長していくため、改善が求められる「課題」
波紋を呼んだ「映画館大賞」だが、同賞の公式サイトでは《映画館への来場促進、および映画文化のさらなる活性化を目的とし、映画業界全体をあげて取り組み、創設しました》とも掲げている。今後、映画ファンに愛される賞として成長していくためには、どのような点が課題として挙げられるだろうか?
「まずは『イチオシ』という部門名を変更して、“観ていない作品に投票している”誤解を解かなければならないでしょう。実際は『期待作』と言える作品の選定基準も、もっと大きく明記しておくべきだと思います。
また、投票対象が’25年公開の988作品と、’26年公開予定の162作品ととても広いために、より中小規模の作品に注目が集まりにくかったのではないでしょうか。まずは本家アカデミー賞のように、前もって数作品をピックアップした『ノミネート作品』を発表しておくのも1つの手かもしれません。
何より、今回の最大の問題は、前述した通り各部門の3位までを1枚の画像で一挙に発表したことです。SNSでは1つ1つの投稿のごく凝縮された情報から全てを受け取ることが当たり前ですから、例えば各部門の10位からランキング形式で段階的に発表する、部門ごとに10位まで1枚の画像で掲載するなどの工夫が必要だったでしょう。少なくとも、“公式サイトで見ればわかる”という言い訳は通用しないと思います」
とはいえ、受賞作品を再上映するなど評価すべき取り組みもあることから、映画ファンに支持される希望は十分にあるという。
「やはり『国宝』や『鬼滅の刃』など“すでに売れている作品ばかり”と批判が寄せられるほど、“もう多くの人が映画館で観ている”と言える作品が選ばれるのは当然とも言える一方、やはり“もっと映画館で観てほしい作品はあるのに”と映画ファンの1人である筆者も思ってしまいます。
だからこそ選定基準を見直すなどして、多くの人が知らない名作にもスポットライトが当たるようになってほしいです。その上で、授賞式での東宝株式会社の代表取締役社長・松岡宏泰氏からの『20~30年後の映画界を支えてもらうためにも、至らない部分があっても長期的な視点で応援してもらいたいです』という言葉通り、賞そのものを長い目で応援したいとも思います。
今回の受賞結果に多くの批判が集まったことで、より投票する側も“知られざる優れた作品を応援する”という意識も働くかもしれない、という希望もある程度は持てるでしょう」
賛否が巻き起こったのも、高い関心が寄せられているからこそ。映画ファンに愛されるよう、ブラッシュアップされることを願いたい。
画像ページ >【写真あり】「どう評価したの?」Xで波紋呼んだ受賞作品の“結果一覧画像”(他1枚)
