岩井志麻子・倉田真由美イベント
－まずお二人、ご挨拶をお願い致します。
岩井 “エロおばはん”としてのほうが有名かもしれませんが、小説家をしております、岩井志麻子と申します。今日この場に呼んでいただいて、はりきらなくちゃなと思っていますので、どんどん質問の方よろしくお願いいたします。
倉田 もう四十路になりまして、再婚もし、すっかりセックスとかから遠くなってしまいましたが、漫画家をやっております、倉田真由美です。ですが、今日はすっかり無くなってしまった脂っけを取り戻したいなと思いつつトークに臨ませていただきますので、宜しくお願いします。
－では、この映画を見たご感想をお聞かせください。
岩井 まず、このシェイムをものすごいエロい映画だと思いこんでて、どうしようかな今晩とか思いながら観にきたら、「あら、真面目な映画なんだな」って。それは残念とか落胆じゃなくって、全然いい映画観せてもらったなって。全然エッチじゃなかったけど、いい映画みたなって思いましたね。いつ、この主人公が依存症になってしまったのか、いつ妹がこんな子になってしまったのかっていうのが、過去になにか衝撃的な出来事や家庭環境になにかあったのかなと思ったら、「え、終わり？」って感じで、全く触れられてないのね、何があったかっていうことに。普通の映画はまずそこを重点的になのに、それが無かったのは、手抜きじゃなくって想像にゆだねるってことなのか、それとも、私この年になって最近思うのは恐ろしいことや、驚くような体験をした人とかが意外にものすごい過去とかトラウマとかなくって、私らと同じように普通に平凡に生きてきた人だったりするのよ。殺人鬼とか犯罪者が。だからそういうことなのかなとも思ったんですよね。
倉田 私もヤリチンってよく私の漫画に出してて…。
岩井 旦那さん？
倉田 そうですけど（笑）何人も会ったことあるんですけど、取材なんかで。やっぱ彼らってすごい人、何千とか何百っていう人いるんだけど、でも過去女にひどい目に会ったかとか、女に対するトラウマがあるとかそういうわけじゃないんですよね。本人達が「女は信用できない、こういう目にあったんだよ」っていう人もいるんだけど、全然大したことじゃないんですよ。あいつら多分なにもなくてもそういう人たちなんですよね。でもだからそれがリアルっていうことなんでしょうね。
岩井 それがリアルですよね。私にも春から大学生の息子がいるんですけど、それも順調にヤリチンの道を歩んでいるんですが、よう考えたら息子の母親が岩井志麻子っていうとんでもない過去を抱えているので、もしかしたらあいつはおかんのせいにするかもしれないですね。
倉田 ありえるわー。
岩井 私程度のもんがそんなトラウマになるかいなって思うんだけどね。でもヤリチンって人それぞれなんだろうけど、コレクターっていう考えもあるんですよね。
倉田 ありますね。だから1人と一回っていうパターンがけっこうありますよね。
岩井 だから、熟女ともしたいし、黒人さんともしたい、白人さんともしたい。あとはCAだったり、タレントさんだったり、一ジャンルごとにやってみたいみたいな。
倉田 ハンコを押してくイメージですよね。
岩井 スタンプラリーをしているような。
－お二人はちなみに、主人公のブランドのような男性にお会いしたことはありますか？
岩井 家にいるじゃん、ブランド。（笑）
倉田 そうですよね。でも今は枯れ果てちゃってますけど、過去の話聞くとほんとそうなんですよね。私は男の話として見るというよりも、自分自身のセックス感を考えて、私はどうだったかなとか、行きずりのセックスって私一度もしたことがないんですよ。だからしとけばよかったなって思いましたね。だってだんだんできなくなるじゃないですか。
岩井 やっぱりそんな気はなくてもどんどん年は取っていくというか、私今の夫って18下なんですよ。この夫と出会った時って私41だと思うんですけど、そん時と今を比べたらたかが数年なんですけど、あの時若かったなって思うんですよ。今の私はとてもじゃないけど、18下の男なんかによういきませんもん。そんな目で見られないもん18下の男を。あん時私若かったんだー。みたいな。数年で年取るんだなーみたいなね。
倉田 でもそうですよね。私もさっき言ったように脂っけなくなったなーっていうか、数年前に比べてほんとに枯れたなーって思うんですよね。太ったしね10キロくらい。
岩井 そんな風には見えないけど。
倉田 男に対する野心が枯れるっていうか、そういう時期って来ますよね。
岩井 くらたまさんがそんなこと言うのに木嶋佳苗とかすごいじゃん。あんな体でガッツンガッツン男に体当たりしていくじゃない。
倉田 いや、彼女はかなり自分の体にも自信があるみたいですしね。
岩井 セックスに相当自信があるんでしょ、木嶋佳苗って。
倉田 セックスじゃないですよ。体です。私の機能は普通の女の子より優れているって言ってましたからね。
岩井 それは私の担当編集者の一人がね、以前なんか木嶋佳苗そっくりの女とやったことがあると。それこそ行きずりかなんかだったらしいけど、それが本人としか思えないくらいものすごい名器だったらしいのよ。名器なんてほんとにこの世にあるの？って。
倉田 いやほんとですよね。都市伝説じゃないんですか？
岩井 なんかね、大盛りのグミがチンコのまわりでおしくらまんじゅうしてるんだって。そのなんとも言えん表現というか形容というか、私には一生味わうことはできないじゃないですか。それってほんとに木嶋佳苗ちゃうんかそれって。
倉田 それは男性が考えたらさぞやよかろうって感じですよね。大盛のグミですよ。
岩井 おセックスに自信があるからガンガンいける人ってほんとにいるのかしらこの世に。
倉田 でもちょっとそこが自信になっているって言う人はいるんじゃないですかね。
岩井 どこまで話していいのかわからないですけど、今をときめくイニシャルNさんのところにいる占い師さんって昔岩井さんの所にいませんでしたか？ってよく言われるのよ。だから私もほんまにそれ、共通点がありすぎて、私もあの手の人にちょっとひっかかったことがあってね。くらたまさんも会ったことがあるけどね、あの人に。ものすごいホラを吹くのよ。「ジョニデとブラピが私を取り合って決闘したんですよ」とか「SMAP全員と嵐全員と付き合ったんですよ」とか「東方神起全員とも付き合ったんですよ」とかワールドワイドやのうって。そんなこと言うから真顔っていうか本気にしたの私。
倉田 そこまででかい嘘ってなかなかつけないですよね。
岩井 「どうやったらジョニデやブラピが虜になるの？」って聞いたら、「フェラですよ、フェラ！」って言ったの。「私のフェラはね海を越えるんすよ」って。私その時ねポカーンとすると同時に、なんか妙に納得もしたのよ。なんかそうかも！みたいな。で、これは言いにくいんだけど、その女って昔ものすごい叶井くんにアタックしてたのよ。叶井くんは相手にもしてなかったんだけど、その時に「あ、叶井くんはやっぱりちゃんとした人だ」みたいな。伊達にヤリチンじゃねえなと、センサーがついてるんだなと。（笑）
倉田 でもそれはあると思いますよ。うちの夫ってたしかに何百人と経験しているんですけど、性病にかかったことが一度もないんですよ。
岩井 それ大したもんだわ。
倉田 でも毛シラミはあるらしいですけど。でもそれだけってすごい確率でしょ？
岩井 センサーがついとるんや。で、その女が叶井くんにアタックしている時に不思議だったのが、何一つとっても倉田真由美に勝てる要素がないくせにどうして倉田さんに勝てるなんて思うんだろうって思った時に、「あ、もしかしてセックスというものに自信があったのかな」と。私自身が自信がないからそんなものに。
倉田 なかったんですか？
岩井 ないよ！だってブラピを虜にするようなフェラのテクニックなんてないですよ。これって上手い下手って測定できないじゃないですか。検定試験とかあったら別だけど、フェラ試験とか。
倉田 そうですけど、それこそ、大盛りのグミが押し寄せるような技を口の中で出来るような人がいるんじゃないですかね？
岩井 なんかやっぱり検定があるのかもしんねえ。売れっ子ソープ嬢とかに教室とか開いてほしいよね。来ると思うよ結構ね。
－そういうセクシュアルなテクニックっていうのは、私達一人一人が磨くものなんですか？
倉田 男性ばっかり磨けってよく言われるけど、女性も磨く人は磨いてて、私のこの間取材した人でマン筋体操を教えているっていう人がいて、その人は中で三段締めとかできるらしいんですよ。全然動かないで男をイかせられるんですって。
岩井 動かないで？
倉田 そう動かないで。無理でしょ？
岩井 無理無理。そういえばね、さっきの男が言ってたのがね、コンドームをはがす女に会ったことがあると。うにょうにょうにょって動いて中でコンドームをはがしちゃうって。
倉田 それ訓練で出来るらしいですよ。
岩井 私ストリッパーで名を馳せたファイヤーよう子さんっていうのが友達で、なんでファイヤーっていうかっていうと、アソコから火を吹くんですよ。
倉田 どうやって？
岩井 なんかね、ストローをここにいれて、ここにアルコールランプを置いて、ストローの中にガソリンかなんかをいれて、
倉田 めちゃくちゃ危ないですね。
岩井 危ないでしょ？フンッってやったらそのガソリンがアルコールランプに吹きつけられて、バーッと火が上がるのよ。しかもそれ誰でも出来ますよって言うのよ。
倉田 やりたくないですね。（笑）
岩井 それでよう子さんが、やったらできますよ。っていってラッパをくれたのよ。これで練習をしなさいって。プープープーって音が出るようになるまで頑張れっていうんだけど、うんともすんとも言わないのよやっぱり。才能ないよ。わたしのココ。
倉田 それも鍛えかたしだいなんでしょうね。（笑）
岩井 女のアソコは無限なのねー。誰かいないかしらね、この会場にその技を持っている人は。
倉田 男の人は一見して形状がすぐわかるけど、女の人はわからないですもんね。
岩井 だから自信があるのかもね。３センチのチンコを５センチあるとは絶対言えないけど、見えないから私すっごい名器なんだからって言えるもんね。
倉田 確かめられないですからね。男しか。
岩井 でもこいつは決して物自体は立派じゃないと思うわ。チンコでかい男って怠け者だもん大体。
倉田 なるほど！
岩井 やっぱり、小説家と漫画家ですから、それぞれ本に書いたことはもちろん知識になっていきますが、体験した人の話はやっぱりすごいものがあるなと。現実に体験した人にはやっぱり勝てんわって思いますもん。本の知識もそりゃ大切なんですが、ソープ嬢さんとかAV女優さんとか実際に話を聞くと、男性週刊誌に書かれないことっていうのを彼女たちはしゃべってくれますもん。これとつながるかわからないですが、若い子でAV志願する子は大体お金目当てですよって。だけど熟女で志願してくるのは、セックスしたいんですよね。若い子にしても熟女にしても、長続きする人って言うのは、どういう人かって聞いたら、露出狂なんですよ。って。
倉田 なんかそれってすごいリアルな話ですよね。体験してないと話せないっていうか。
（ここから挙手して質問）
－私は、夫と結婚してからセックスレスになってしまいました。私の友人も同じような感じです。お二人はご結婚後に変わったことはありますか？
倉田 うちもセックスレスですよ。でも普通そうなんじゃないですかね。
岩井 日本人は特に家族になっちゃうとしにくいっていう部分がありますよね。でも今セックスレスって大きなテーマじゃないですか。でもセックスレスでもいいと思うのよね。日本人の男性の全てとは言わないけれど、大部分って仮性包茎じゃないよー。だけど仮性包茎ってなんの不具合もないのよ。だけど、美容整形だったりが、ムキムキがかっこいいんですよっていう風潮をつくってしまったから、皮かぶってたらだめなのかなーって思うようになっちゃったんで、セックスレスも別にレスでいいんだよ。それをなんかしてなきゃいかんみたいな？長らくしてなきゃいかんみたいになっちゃったんだよね。しなくていいんだよ！別に！
倉田 私もそう思いますよ。いいじゃないですか。仲良ければ。
岩井 これはAV監督の方が言ってましたけど、絶対セックスレスにならない夫婦っていうのはどういう夫婦かっていう。それは相手で未だにオナニーできるかっていうことだって。旦那さんを思い浮かべてオナニーできますか？みなさん。
倉田 無理だなー。
岩井 その人は配偶者を思い浮かべてオナニー出来たらセックスレスにはならんって言うんだけどね。
倉田 だって、パンツ１丁の姿とか、おならとかも見てるわけだから、そういうのはねー。
岩井 うちの夫もうちのことを母ちゃんって言ってますからね。
倉田 志麻子さんのところはどうなんですか？
岩井 いや、うちはまだ若いからねー。レスってことはないにしても、回数はぐっと減ってますよ。ほんとなにがなんでもイチャイチャしてなきゃいかんっていうことはないと思います。
倉田 私もそう思います。
－この映画シェイムは恥という意味ですが、お二人が隠しているシェイムなことはありますか？
倉田 私は、昔のギラギラしていた時の人に言えないような恥ずかしいことは漫画に描いたり言ったりしていて。
岩井 私達のすごく救われるところはネタにできるところよね。
倉田 そうですね。たとえばへそ上５センチのパンツ履いてるとか、乳首がでっかくなったとか、そういうことって昔じゃ恥ずかしかったんだけど、今は恥ずかしくもなくなってしまって、恥ずかしいことがなくなるっておばちゃんになったなってことだなっておもうんですよね。
岩井 恥ずかしいがずれてるのか、これが正しいのかわかりませんけど、私はハメ撮りが流出するよりも、中学生の時のポエムを書いた日記帳が流出する方が恥ずかしい。
倉田 （笑）
岩井 中学の時の「夕焼けってすみれ色」みたいな、そんなもん流出したら舌噛むかもしれない。
倉田 でもやっぱりそこはまだ恥ずかしいですか？
岩井 そこはちょっとかなわんなー。やった男よりも、初恋のなんとか君が出てくる方が恥ずかしいかな。
倉田 いや、志麻子さんらしいですよ。
岩井 （笑）彼の恥ずかしさっていうか、隠したいものっていうのは結局描かれてないのかな？それを隠すためにセックスしまくっているっていう設定なのかな、これは。昔の警察もいい加減だった時期って、犯人が名前も嘘ついてるし、罪状だけきいて、適当にじゃあ３か月くらい入っとけ、みたいな感じにしていたらしいんだけど、その捕まった男も、本当のことがばれたら死刑間違いなしみたいなこともやってるんだけど、それを隠すために、軽いことをいくつかピョンピョンと言っとくみたいな、そういうところもあるのかもな、こいつ。
倉田 みんなもそうですよね。本当に恥ずかしいことは出せないみたいな。男が借りたいAVで一番借りたいものは借りられないとか。私昔付き合ってた人で、AVとか全然表に出しているような人がいたんですけど、隠してあるやつが顔射モノ。それがほんとにやつの好きなものだったんですよ。
岩井 隠すで言えばね、理想の結婚相手の条件を３つ挙げてくださいっていって、じゃあその３つには入っていないけど、強いて一つ付け足すとしたら何？って聞くと本音が出るみたいな。これを西村賢太さんっていう芥川賞作家に聞いてみたら、「おっぱい大きくて、くびれてて、キレイで、アソコがあんまり臭くない人」って言ったんですね。結局彼それが一番なんだなと思って。
倉田 そういうのを一番最初にださないところがシェイムなんでしょうね。
－今25歳ですが、全く性欲がないです。どうしたらいいでしょうか？
倉田 でもべつに、そういう人もいますよね。
岩井 何が何でも性欲を持たなければいけないっていうこともないんだよね。一生処女童貞でもべつに不都合はないと思うんだよね。その欲望がない人に欲望を持てって言ってもそれは違うんじゃないの？って。この世にはほんとにそんなに金要らないっていう人とか、いるんだよね。だからなきゃないでいいんじゃないかなと思うんですけど、やっぱりこれもなんか、恋愛物とか映画とか見ると自分も性欲もたなあかんのかなと、こないだ私性同一性障害の人に会ったんですよ。この人は戸籍上は男だけど、女性になりたくってなりたくって、うっすらとおっぱいふくらんでたりするんですよ。で、私は無邪気に「じゃああなたは女になりたいんだ、男が好きで、セックスしたり結婚したりしたいんだ？」って聞いたら、女になりたいだけで、そこから先は興味がないって言うんですよ。それ聞いて「あーそういう人もいるのか」って思って。まあ確かに普通に男でも女でも異性に興味ないって言う人もいますもんね。
倉田 うん。女の人には少なくないですよ。性欲ない人って。
岩井 他に趣味とかやりたいことがあるなら、無理無理性欲を駆りたてんでもいい気がするんですが。なにかのきっかけででるかも知れないし。
