高畑淳子 「見逃したら二度とないコンビです」藤山直美と舞台上で女流漫才を披露!
結成25年の上方漫才コンビ・濱子と宇多恵を中心に、友情や芸人魂、2人を取り巻く人々の愛情などを描いた舞台『ええから加減』が、7月1日より上演されている。女流漫才コンビを藤山直美(濱子役)とともに演じるのが、宇多恵役の高畑淳子だ。
たかはた・あつこ☆
54年10月11日生まれ、香川県出身。76年、青年座に入団し『悲しき恋泥棒』でデビュー。02年『セイムタイムネクストイヤー』
『悔しい女』で、読売演劇大賞選考委員特別賞を受賞。『篤姫』(NHK)『夫婦道』(TBS系)などのテレビドラマでも活躍するほか、バラエティ番組にも
出演している。
舞台『ええから加減』
7月1日(日)~29日(日)、日比谷・シアタークリエ(東京)にて上演。
前売り券は完売。当日券などの問い合わせは東宝テレザーブ(03‐3201‐7777)
(公式サイト)http://www.tohostage.com/eekara/index.html
――台本を読み終えたときの感想はいかがでしたか?
「泣きました。泣けるんです。長い間、漫才コンビを組んでいた2人が、40代、50代を迎えて、中堅どころと呼ばれるようになって。このままでいくのかな……と
思っているところで、一年発起して『賞を取ろうか!』となって。現実ではあまり仲が良くないんですけど、長いことコンビを組んできたので、口には出さずと
も、お互いのいろんなところを尊敬しつつもある。私が演じる宇多恵は、女のいちばん大事な時期を漫才に費やしてきました。私も、恥ずかしくて言ったことは
ないんですけど、芝居だけは命がけでやってきました。そこがダブるんですよね。それと、最初と最後に漫才をするシーンがあるので、ハードルは高いです
――実際に自分が漫才をするとなると、大変そうですね。
「簡単にはできないですよねぇ。それで、最初は吉本でボーイフレンドでも作るしかない、なんて思ったんですけど(笑)、『ますだおかだ』の増田さんと知り合い
になる機会があったので、ご指導をしていただきました。立ち位置から教えてくださいましたよ。役者さんが漫才をやると立ち位置が悪いらしくて
――今回はセリフが関西弁ということですが、高畑さんは四国出身なので、言葉の部分はあまり大変ではない?
「四国は、関西弁の類型の一種ですから難しくはないと思いますが、だからこそ細かい部分に気をつけないといけませんよね
――藤山直美さんとは初共演です。こんな難しい役は、お2人にしかできませんよね。
「いろいろな人が藤山さんの偉大さを教えてくれるので、以前から大、大、大ファンだったんです。でも今回は、とにかくお客さんに喜んでもらえるものを作ろうと、意気込み過ぎずにやっていこうと思います
――今回の舞台では、ヘアスタイルが個性的ですね。どなたのアイデアなんでしょうか?
「これは、私がとっさに思いついたヘアスタイル。藤山さんを見て、自分はこうしたらいいかなって思って
――今回、演じる宇多恵という女性は「ボケ」担当です。高畑さんの日常は、どちらに近いですか? バラエティ番組などを拝見していると、「ボケ」のイメージがあるような……。
「自分ではボケているつもりはなくて、憐れに思われるほど生真面目なんですけど、それがボケの要素なのかな、と思います。うちの父が同じように生真面目なので、同じものが私にも流れているんでしょう(笑)」
――宇多恵と高畑さんの、似ている点などはありますか?
「女
性として家庭を持つか、結婚をするか、子供を産むか、という時期に、漫才だけをやってきたのが宇多恵。私は、子供は産みましたけど、演じることを続けてき
たというところが、おこがましいんですけど、大いに共感できるところでした。それと、宇多恵も私も、笑うことに関して非常に貪欲で“スケベ”なんです。そ
こは似ているかもしれません。私にとって、劇場でお客さんが笑っているときほど、幸せな瞬間はないんです
――宇多恵は濱子と25年、コンビを続けてきました。高畑さんが長年、続けてこられたことは何かありますか?
「ずっと同じ劇団に所属しているということでしょうか。21歳のときに、よそのどこの劇団も受からず、拾ってもらったのが今の劇団(青年座)。それから40年近くです。唯一ですね、自分の中でそんなに続いているのは。結婚もすぐダメになっちゃいましたし(笑)」
――舞台、ドラマと立て続けに出演され、さらにバラエティ番組でも活躍されていますが、その元気の源は何ですか?
「新しい自分と会いたいんです。いつも似たような役柄ではなく、対極にあるような役もやってみたいです。本当は、バラエティに出るのはすごく苦手で、怖いんです。冷汗もかくし。でも、いろんなことをやってみると、その都度、自分にとって収穫があるんですよ。だから、より安全な道より、怖い道を選んで、自分の意
外な面と出会いたいんだと思います
――心身ともに元気はつらつでいられるコツみたいなものはあるんでしょうか?
「好きなものを食べて、キレイな景色、キレイな男を見るということでしょうか。ご迷惑にならない程度に、ストーカー行為にならない程度にですよ(笑)。自分が
『心地いい』と思える時間を持つことだと思うんです。若いころと比べて、いまのほうがきれいと言われることがあるんですよ。それは、内面が明るくなったからでしょうね。だから、キレイになりたいとしたら内面からだと思います
――高畑さんが思う『ええから加減』の魅力とは?
「漫才の『人を笑わせたる!』という気持ちの裏には、何かがある。シンクロナイズドスイミングと同じで、人の目が届くところはすごく華やかでも、見えないとこ
ろでがんばっている部分がある。それがちょっといいなって。女優もきらびやかではありますが、陰では泣いていることもあるんです。だからこそ一瞬のところが、すごく、光り輝くんですけどね
――最後に、舞台の見どころをお願いします。
「『これを逃したら、ないコンビ』っていうキャッチフレーズはどうですかね? でも、よくぞこのコンビを組み合わせてくださったと思います。カツ丼と天丼が同時に食べられるような、贅沢なコンビ。見ない手はないと思います!