これまでの尺八のイメージを打ち破り、つねに新境地を開拓し続けている尺八演奏家、藤原道山。彼がチェロの古川展のぶ生お 、ピアノの妹尾(せのお)武とともに結成したユニット「古武道」の、’13年の総決算ともいうべきコンサートが開催される。
「年末の『古武道忘年会』は、通常のツアーと違い、ゲストをお呼びするものです。今回のゲストは、男性ソプラノ歌手の岡本知高さんと、津軽三味線プレーヤーの上妻宏光さん。いつもよりさらに楽しくにぎやかにやりたいと思っています」
年末の「忘年会」は今回で5回目。これまで東京で行われてきたが、初めて大阪での開催となる。
「古武道のメンバーは、みんな関西にかかわりがあるんですよ。妹尾は兵庫出身、古川は京都出身。僕も母方の祖父が大阪で、いわば4分の1は大阪なんです。そんなこともあって、これまでも『一度は大阪で』と思っていたので、すごく楽しみです。ノリのいいお客さんといっしょに、ステージを盛り上げていけたら」
’13年には、綾瀬はるか主演のNHK大河ドラマ内の「八重の桜紀行」で、音楽に参加。番組では、ピアノを演奏する坂本龍一と共演した。
「坂本さんとはもう10年以上前、ゲーム音楽に尺八を使いたい、と声をかけていただいたのが最初です。坂本さんは私にとってあこがれの人なので、それだけでもう、舞い上がっていました(笑)。その後、大河ドラマとは別のNHKの番組で、福島でコンサートがあった際、坂本さんと共演させていただく機会もあり、今回もうれしい限りです」
ほかにも、ウィーンフィルのメンバーとバッハを演奏するなど、尺八になじみの薄い層にも楽器を知ってもらおうと多くの活動を展開している。
「みなさん、尺八と聞くと正直、古臭いイメージを持ったり、構えてしまったりする部分があると思います。でも私たちは、この楽器の新しい可能性を見いだそうと思っています。そういった部分を、今回の『忘年会』でも出していけたら。もちろん、一年を締めくくるわけですから『何より楽しく!』という部分は、忘れずにいきたいと思います」
ふじわら・どうざん
’72年7月10日生まれ、東京都出身。10歳より尺八を始め、人間国宝・山本邦山に師事。’97年、東京藝術大学大学院音楽研究科修了。’01年、アルバム『UTA』でCDデビュー。’07年にユニット「古武道」を結成。アルバム制作、コンサートツアーを行う。母校・東京藝術大学では尺八専攻講師として後進の指導も行っている。
舞台「師走の協奏曲(コンチェルト)」古武道忘年会
12月27日(金)、大阪新歌舞伎座にて。問い合わせは新歌舞伎座テレホン予約センター(06‐7730‐2222)まで