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ユーモアがあってチャーミング。主人公のたゑも吉行和子も、周囲を朗らかな雰囲気にしてくれる素敵な女性だ。
「淡々と過ぎていく人生の花道を、燦さん々さんと輝かせてくれるお相手を探しております」
そんなセリフから始まる映画『燦燦―さんさん―』は、夫を亡くし、長い間、一人暮らしをしていた鶴本たゑ(吉行)が結婚相談所へ駆け込み、人生のラストパートナー探しに励む物語。主人公が77歳、ほかの主要キャストも70歳以上と、高齢者にスポットを当てた作品だ。
「『今日は一日、何をしたらいいんだろうって、悩むのはイヤだわ』というセリフがあるんですけど、年を取ると、やることがなくなっちゃう(笑)。でもそうではなく、燦々と生きられたらいいだろうな、と私も思っているんです」
亡き夫の口癖「毎日がスタートライン」をモットーに明るく生きるたゑだが、突然の婚活に、息子夫婦からは反対の声が。高齢者の恋愛や家族との問題を明るいタッチで描きながらも、当事者がいずれはぶつかる問題がちりばめられている。そんな高齢者の心境を33歳の監督が描いたことに、吉行自身も驚いたとか。
「同時に、感動しました。若い人が脚本を書くとね、お年寄りは化石みたいな描かれ方にされることがあるんです。『このおばあさんにだって、うんと若いときがあって、いろいろあったんだからね』って、私もときどき不満に思うことがあって。それが今回は、一人ひとりの気持ちが大切に描かれていた。なんて素敵な方だろうと思いました」
劇中で、たゑはタイプの男性を「ジョニー・デップ」と答える。吉行自身のタイプはどんな人?
「ちょっと危険な感じがする人が好きですね。ジョン・マルコヴィッチが好きで、その次に、私もジョニー・デップが好きなの(笑)」
そんなイケメンを探しに、今後、婚活の予定があるのかを聞いたところ……。
「私は面倒くさがり屋で、一人でいるのが好きなんです。楽しい仕事がいただけているだけで幸せだなと。仕事がピタッとなくなったら婚活でもするかもしれないわね(笑)」
充実した日々を送るための秘訣は?
「1回しかない人生、楽しまなくちゃ。みんな、楽しい人生を自分の手でつかんでほしいなと思いますね」
誰もが気になる、たゑの恋愛の行方は、ぜひ劇場で確かめて!
よしゆき・かずこ

8月9日生まれ、東京都出身。’57年、舞台『アンネの日記』でデビュー。映画『愛の亡霊』(’78年)で第2回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。これまでの出演作に、映画『折り梅』(’02年)、『東京家族』(’13年)などがある。’14年には出演映画『小さいおうち』、『御手洗薫の愛と死』の公開が控えている。

映画『燦燦‐さんさん‐』

監督/外山文治 11月16日(土)~、ヒューマントラストシネマ有楽町、ユナイテッド・シネマ浦和ほか全国順次公開
©2013 埼玉県/SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ

 

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