「終わりのための活動」という言葉の響きで、マイナスイメージも持たれがちな“終活”。だが、ときに“終活”が残りの人生を輝かせることもある。そんな、“日々を充実させる終活”を実践する女優たちに話を聞いた。
「“終活”という言葉に対して、お年寄りの方は『縁起でもない』と、少し抵抗を感じるようです。むしろ若い方の方が、興味を持って聞いてくれますね。昨年50歳になり、今後のことを改めて考えるようになりました。“誰かのために役に立てる人間になりたい”と思って、6つの資格を取得しましたが、そのうちの1つが『終活ライフケアプランナー』の資格です。介護・相続・お墓などの死に向けての事前準備から、遺族の心のケアまでサポートする民間資格で、これを取得したことにより、私自身の“終活”もスタートしたのです」
そう語るのは、女優の財前直見(51)。’85年に『婦警候補生物語』で本格的に女優デビュー。’89年の『極道の妻たち~三代目姐~』で映画初出演。以来、幅広い演技で活躍。財前は実家のある大分県で小学5年生の息子と両親と、家族4人三世代同居をしており、仕事のときに上京するというスタイルをとっている。今年はNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』に井伊直虎の母親、祐椿尼役を好演して話題になっている。
「終活の第一歩は、自分の人生を振り返ること。私が実践し、皆さまにもお勧めしているのは、親世代と自分、そして子どもも含め、まとめて『家族年表』を作ることです。横軸に西暦や元号を書いて、縦軸には家族の名前を書きます。すると、『○年に、母は○歳なんだな、お祝いの年は○年だな』など、家族の年齢が一目瞭然になります。たとえば子どもが高校や大学に入学する年には、教育費もたくさんかかりますよね。年表によって、自分の人生設計や老後の対策なども立てやすくなるのです」
それに併せて重要なのがエンディングノートだという。
「交通事故、病気による急死……、人生には予測できないトラブルがあります。そういった不幸に、親や子どもなど家族を巻き込まないためにも、自分の遺志を書き残すエンディングノートは大切だと思います。貯蓄ばかりではなく、有価証券、保険証書など、財産がいくらあって、どこに保管されているのか? 葬儀はどうしてほしいのか? そういった基本的な事柄以外にも、最近は『デジタル遺品』という言葉もありますが、パソコンやスマホ内に残った情報はどうすべきか? といった問題もあります。パスワードがわからなければ、遺族としてはどうしようもありませんよね。すべてにおいて、遺志を書き残す必要があるのです」
財前は「実は、家族年表を作ったり、ものを整理したり、遺言の内容を考えていると、逆にプラス思考になっていくのです」と言う。
「『まだ人生は長いな。こんなやり残したことがある』とか、『100歳まで生きるかもしれない。足腰が弱っていても、ロボット義足が開発されていて、元気に生活できるかも……そういう未来も見てみたいな』とか、『老後』についても、いろいろ明るい想像が膨らんでくるのです。終活って、死を連想させて寂しいイメージを感じる人も多いと思います。でも本当は今後の人生を充実させるための、楽しくて夢のある活動だということを、皆さんに伝えていきたいです」