安倍首相の「戦後70年談話」が話題だが、国民一人一人に“私だけの70年談話”があるはず。そこで著名人に語ってもらった「この人生を歩んできた私だからおくるメッセージ」。

 

16歳でイタリア留学した、漫画家のヤマザキマリさん(48)シングル子育て、国際結婚を含む欧州、中東、米国での海外放浪生活は30年目となった−−。

 

“中東は危険”と誤解している人もいるかもしれませんが、イスラム教の戒律は厳しくて、人のものを盗むと厳罰に処されるため、シリアの町は安全そのものでした。また、シリアの人はすごく人懐っこくて、世話好き。

 

“アレッポせっけん”で有名なアレッポに夫と行ったとき、公衆浴場が女性利用日でした。歴史好きな夫の血が騒ぎ「資料として写真を撮ってきてくれ」と言いだしました。まだ言葉や風習になじめなかったので風呂に入る勇気が出ない。

 

カメラ片手に入口をウロウロしていると、太ったおばさんがやってきて、グイッと腕を引っ張られました。脱衣所に連れていかれて、ワーッとおばさんに囲まれて、下着以外の服を脱がされて(笑)。

 

湯船がない蒸し風呂で、近所のおばさんたちが床に座って、お菓子やご飯を食べながらおしゃべりしているんです。湿気たお菓子を「食べろ、食べろ」と勧められて。言葉がわからないのに、なんだかおかしくてみんなで笑いました。

 

あの経験があったから、後に『テルマエ・ロマエ』が描けたんだと思います。

 

’10年、中東では民主化を求める“アラブの春”が起こり、シリアでも独裁政府と反政府ゲリラが戦闘状態になりました。すぐに収束してほしいと願っていましたが……。もっとも惨憺たる道を歩みました。

 

シリアの人たちは平和を愛し、願っている人ばかりでした。それでも、誰も止められない泥沼の内戦に陥っています。今では戦争が日常となり、子供を戦地に送り、憎しみの連鎖が起きています。人間は、本能的に戦争を求め、ひとたび始まると、誰も止められず、それに順応してしまうのかもしれません……。

 

しかし、戦争に進まない道を模索する倫理観、高い精神性を併せ持ってもいます。毎日、少しの時間でもいい。広い視野に立って国の在り方を考え、政治に興味を持つことが大事なのだと思います。