放送中のドラマ『モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)に出演中の稲森いずみ(46)にインタビュー【その1】。今作で、連続ドラマへのレギュラー出演が25年連続となる。
――『モンテ・クリスト伯』では、冷めきった夫婦生活を送る不幸な女性・神楽留美役を熱演されていますね。
「留美は、愛に縁がない女性。精神を病んで何度も壊れかけて、本当に日々の人生をギリギリで頑張っています。
いろんな辛い過去を持ち、お金のことしか考えていない旦那さんには愛されず、存在を無視され、日々の鬱憤をはらすために年下の男の子たちと関係を持っていたけれど、それも夫の差し金だとわかり、ボロボロでしたね」
――ディーン・フジオカさん演じる真海の策略によって、実の息子と知らず若い男と関係を持ってしまう展開が衝撃的でした。
「彼が実は息子だと知り、あー、これから留美はどうするんだろう、と考えていました。監督から『どうなりたい?』と聞かれて『強い母になりたい』と答えたら、その通りになっています。ちょっと壊れているけど(苦笑)」
――25年間続けて連ドラに出演されていますが、ご自身で実感はありますか?
「20周年を迎えたときは、感無量というか、節目を感じました。お祝いも何もしていませんが。25年は、人に言われて『ホントに?』って感じでした。自覚が足りないですよね。演技は楽しいときもありますけれど、基本、苦しいです。いいパフォーマンスが出来ずに自己嫌悪に陥ったり、辞めたいってくらい辛い時もありました。
でも、そのたびに思い出す言葉があるんです。デビュー当時のドラマのプロデューサーから言われたんですが『自分の演技を見て1人でも救われたりするのだから、自分の役割の重さを感じながら頑張りなさい』と。この言葉を胸に一生懸命やってきました」
――ドラマの現場で何か心がけていることはありますか?
「コミュニケーションですね。主役をいただきながらも、全く余裕がなかったので、ただただ、一番大切なことは『演技』と『挨拶』だと考えて、一生懸命演じさせてもらい、挨拶だけはしっかりしていました。
共演者やスタッフの方々とのコミュニケーションや、現場を明るく引っ張る!というようなことが、きちんとできていたのかどうか……(笑)。申し訳ないけれど、演技に集中させてもらおう、と心の中で本当にごめんなさいと思いながら。
でも、そのときのスタッフさんが『一生懸命やっているのが伝わってくる』『この人のために頑張ってあげよう』って思ってくれていた、と後から聞きました。とてもうれしかったです。
歳を重ねたら余裕も出てきて、もっと現場を大事にしよう、と思えるようになって。だんだんと周りの方々とのコミュニケーションも取るようになってきましたね」