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「自分で残すものは、役者だから映画でもあるし、ドラマでもある。最近子どもたちも僕が役者であるってことに気づきだして……。今、子どもたちはお茶の間っていう場所とか、そこに流れるテレビと共存して毎日生きていて、そこに僕が映るとすごい喜んだりするんですよ。もっと喜ばせる回数を増やしたいし、自分の体の表現で、ちゃんと生活させて食べさせていきたいと強く思いますね」

 

そう話すのは、映画『きらきら眼鏡』(TOHOシネマズららぽーと船橋にて先行上映中。9月15日に有楽町スバル座、9月29日にシネマート新宿ほか全国順次公開)でがんにより余命宣告をされた裕二を演じる安藤政信(43)。裕二は恋人のあかねに別れを告げ、彼女が知り合った青年・明海に彼女のことを託そうとするが……。

 

役を選ぶことはしないという安藤。与えられた役をきちんと受け入れ、監督が欲しいものに全力を注ぐ。その姿勢を作るきっかけは、デビュー作『キッズ・リターン』のオーディションだった。

 

「いちばんはじめに北野武さんっていうあれだけすごい人に会って。自分は全然芝居をできてなかったけど、ずっと僕のこと見てるなって感覚がありました。人がたくさんいたのに視線を感じて、フッて見たら目をそらすんですよ(笑)。あそこから自分が劇的に変わったし、あそこまでの出会いは今のところないですね」(安藤・以下同)

 

そんな安藤の役作りはとてもストイック。劇中では病いが進むにつれ、彼自身もどんどんやつれていく。

 

「スープを飲むくらいでほとんど何も食べていなかったですね。めちゃくちゃおなかすきますけど(笑)。僕はベッドと病室の無機質なシーンしかなかったから、その中でどれだけグラデーションを出せるかを意識しました。末期がんの方にお話も聞いたので、自分もその気持ちになろうと思って。どの世代も自分の親や、周りの人の死を一度は経験しているんじゃないかな。だから共感できると思うし、この作品が、命について考えるきっかけになればいいなと思います」

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