「きっと初めての演出って、もっと規模の小さい、小劇場くらいのサイズ感だと思いますが、今回は31人もの役者が出演して、しかも自分で主演もやる。殺陣のシーンも多く、展開も激しくて、初っぱなから、正直大変なことになりました……」
そう語るのは、主演舞台『SaGa THE STAGE~七英雄の帰還~』(10月2~8日東京・シアター1010/10月17~21日大阪・サンケイホールブリーゼ)で初演出に挑んでいる佐藤アツヒロ(45)。
「原作がゲームなので、いろんなキャラクターが登場するのも楽しいし、殺陣によって物語が進んでいくので、立ち回りも見どころですね」(アツヒロ・以下同)
オープニングからキレのある華やかな立ち回りが展開していき、ラストまで見ごたえのある作品となっている。
「稽古中は『こうしよう』「いや、ああしよう」と日々、作家さんとやりあっていました。でも俺には、何か問題が起こっても、すぐに解決できる力が備わっているみたい。それは、ジャニーさんが『変更』『変更』と毎日のように変えていくのを、あたふたしながらも解決にもっていく経験を、ずっとしてきたから。“より、いいものを作り上げよう!”というジャニーズ精神で鍛えられたおかげですね」
今までの稽古より10倍くらいのパワーを使うことで、興奮しすぎて眠れない夜もあったという。
「演出は大変、としみじみ思います。作家や振付師、演出補佐など、いろいろな人との協力があって成り立つもので、決して自分1人では作れない。そのなかでわかったことは、俺らしい作り方。役者が作り出す力を利用しながら、その人の魅力を引き出していくというものですね。これもジャニーさんイズムかな」
本誌が密着した稽古場でも、スタッフや演者たちとたえず笑ってコミュニケーションをとっていたアツヒロ。そこには「自分が楽しくないものは作りたくない」との志があるという。「youが楽しくないものを作ってどうするんだ」と、ジャニーズJr.たちによく話しているジャニーさんの姿と重なって見えた。
先日、飲み仲間の1人である滝沢秀明(36)が年内をもって表舞台を去り、演出=裏方に専念することを発表した。ジャニーさんに背中を押された、という報道もあったが……。
「滝沢自身が決めたことだと思います。後輩の面倒をみるのも好きだし、裏方の仕事も好きだから。俺も目立ちたがり屋じゃなく、自分が出たくて前に出ているタイプではないから、わかります。お互い、宿命みたいなものなのかな。ジャニーズって外から見たら“アイドル事務所”なのかもしれないけれど、大きな決断をするときは、みんな自分で、男として決める。そんな“男の集団”だからこその“男の決断”なんだと思います」
今回の滝沢の決断に、アツヒロは温かいエールを送る。
「舞台で共演した(生田)斗真や、ゲームつながりで仲よくなった(堂本)光一、松潤(松本潤)、山下(智久)っていうメンバーで、集まって食事をする機会がよくありました。もう、ずいぶん前の話ですけど。その会でも滝沢の仕切りは完璧でした。『滝沢にまかせておけば間違いない』って、みんなで言っていましたね。男気があるし、みんなが安心するんです。でも、1人ですべて背負うことはない。俺もいるし、光一も、錦織(一清)さんも、東山(紀之)さんもいる。みんなそれぞれのポジションで支え合い、助け合っていけばいい。それが“男の集団”であるジャニーズの“己の意志”だと思うんです」