「誕生日、仕事で行った地方のホテルでシャワーを浴びたあと、日の光が降り注ぐソファに座って、コーヒーを飲みながら感慨にふけりました」

 

そう話すのは、11月に36歳になった中川晃教。『モーツァルト!』や『ジャージー・ボーイズ』などの大作ミュージカルで主役を務める実力派だ。

 

「子どものころからピアノが好きで、曲を書いていて、当時はよく作曲を続けている将来を思い描いていたなぁ、って。音楽の中に、自然体でいられて、気持ちを表現できる居場所を見つけたんです」

 

なんと小学生時代から、大好きなピアノに向かうと時間を忘れてオリジナルの音楽づくりに没頭していた中川。そんな彼に母親が見せたのが、ミュージカルだった。なかでも『ミス・サイゴン』に圧倒的な衝撃を受けたそうだ。

 

「手を伸ばせば届きそうな目の前の舞台で生身の俳優たちが歌い芝居をする。客席の拍手、興奮……そんな異空間に身を置く楽しさ! 子どもながらに胸を打たれたんです。そしてミュージカルを書いてみたい、と夢を見始めました」

 

ミュージカルへの道を着々と歩んできた彼は、12月からコメディミュージカル『サムシング・ロッテン!』(12月17~30日/東京・国際フォーラム ホールC、’19年1月11~14日/大阪・オリックス劇場にて)に出演する。「何かが腐っている!」という意味のタイトルが興味をそそる。

 

ルネサンス時代のイギリス。スランプに陥っていた売れない劇作家のニック(中川)は、歌と踊りを合体させた“ミュージカル”という新しいエンタテインメントを創り出そうと発奮するが……。

 

「ミュージカルが生まれた理由と人の心を捉えるわけを、福田雄一さんの演出で面白おかしく見せていきます。名作ミュージカルをパロディとして用いたりして」

 

ニックは人気劇作家のシェイクスピア(西川貴教)に対抗心を燃やしているが、中川にとってのライバルとは?

 

「『モーツァルト!』でWキャストを務めた井上芳雄さんかな。彼の頑張ってる姿や活躍ぶりは励みになります。一緒に道を切り開いてきた仲間意識が強いです」

 

スランプに悩むニックには、共感もしたそう。

 

「彼もまた、スランプの中で自分は何を目指したいのか、この自分のままでいいんだろうかと自問自答したと思う。スランプってチャンスにつながるんです。だから気づくのも実力のうち。気づいたら自分を褒めてあげたいくらい。乗り越えれば前進できるんだから」