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今年は喜劇王チャールズ・チャップリンの生誕130年にあたる。

 

「記念すべき節目に再演が決まってラッキーです。チャップリンの作品はひとつも舞台化されていなかったんですよ。だから4年前の初演のときには、すごく責任を感じました。はたして偉大な彼の心の奥を演じきれるんだろうか、と」

 

チャップリンの監督・主演映画を舞台化した音楽劇『ライムライト』(4月9~24日/東京・シアタークリエにて)に主演する、俳優の石丸幹二(53)。初演のタイミングで、来日していたチャップリンの息子、ユージーンと会ったそうだ。

 

「紳士的な方でした。『父の形態模写をする人は多いけど、あなたらしいカルヴェロ役を演じてください』との言葉に、心が楽になりました。チャップリンが俳優として最後に魂を込めて生身の体で臨んだ作品ですから、必ずみなさんの心にしみるはずです」(石丸・以下同)

 

かつて一世を風靡した老芸人と、わけあって脚が動かず自殺を図ったバレリーナの物語。彼女は老芸人の励ましで再び舞台に立つまでになるのだが、スターとして舞台の高みを目指す彼女と、舞台から退場する老芸人との人生が交錯するラストシーンは、見る者をさまざまな感慨とともに至福のファンタジーの世界に浸らせる。

 

チャップリンが映画でカルヴェロを演じたときは、今の石丸よりもうんと年を重ねていたそうだ。

 

「単純におじいさんのふりをするんじゃいけない。芸人として人気を博していた若かりしころのまぶしさや老いていく悲しみ……心の機微を丁寧に深く演じなければと思いました」

 

そのために、チャップリンの心の中を懸命に探ったという。

 

「この作品は彼自身の俳優としての思いも込められているんだと気づきました。後続の若手芸人に道を開いてあげて、自らの散り際にまで思いをはせる。俳優としては幸せな最期だと思います。舞台上で死ねるんですから。人生で自分の役割を果たした満足感や達成感もあるんでしょうか。この役を演じながら、カルヴェロの人生は理想的だと感じています。自分もこうありたいと願いながら演じています」

 

この公演を終えると、石丸は音楽活動に力を入れるそうだ。

 

「東京、名古屋、大阪でオーケストラ・コンサートを予定しています。それぞれ現地のオーケストラとの共演が待っているので、楽しみです」

 

才能の豊かさは、チャップリンに負けない。

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