ド派手なパフォーマンスで一世を風靡した「石原軍団」。1月16日、50年以上にわたるその歴史に幕を下ろした。今でも語り草となっている伝説の数々を、長年在籍してきた舘ひろし(70)が振り返るーー。
【’82年】『西部警察PART-II』北海道ロケで食いだおれ
「このとき、みんな食べ物がおいしくて、デブになったの(笑)。とくに渡さんなんか、『イクラ丼がうまい』って、毎日ざばざば食ってたね」(舘・以下同)
【’83年】テレビの企画で2万人分のカレー作り
「これ、仕掛けはよかったんだけどさ、火力が全然足りなくて大失敗したの(笑)。こんなのできるわけないのよ(笑)。でも、こういうバカバカしいのが楽しかったよね」
【’86年】正月はマスコミを連れてハワイへ!
報道陣を同行させての正月のハワイ旅行も恒例行事だった。「石原(裕次郎)さんに言われて、つたない歌を嫌々歌ってるんですよ! もう、みんなアホらしいでしょ(笑)」
【’91年】秋山武史さんの結婚式も豪快に祝福
「歌ってるうちにテーブルの上に立っちゃってた(笑)。昔は怒られそうなことばっかりしてました」
【’92年】湘南の海でゴミ拾い
宝酒造のキャンペーンで環境美化運動にもいそしんだ。
【’92年】新事務所開きも派手に
調布駅近くにかまえた新事務所で新年の鏡開きをし、結束を強めた。
【’09年】新年会で万札配布
お年玉として、報道陣へ1万円札を配る恒例行事は平成でも。
’63年に立ち上げられた「石原プロモーション」。発足から20年後、舘は『西部警察』シリーズで出会った渡哲也さん(享年78)に憧れ、仲間入りを果たした。
「うち(石原プロ)は、“よく遊び、よく遊び”っていうのがモットーで。映画の撮影も、そんなに真剣に撮らなくていいって感覚だったから、石原さんも渡さんも僕も含めてみんなで大根役者集団みたいなね(笑)。渡さんに『ひろし、お前最近芝居がうまいな。あんまよくないな』って怒られたくらい」
“芝居は下手でいい”という感覚には、昭和のスター軍団ならではの流儀があった。
「石原プロの芝居は、自分の持っている存在感だけで画面を支えていく、いるだけで画(え)になるっていうものでしたね。だって『西部警察』って内容とか全くないんだからね(笑)。でも最後に、石原さんと渡さんが波止場でタバコ吸いながらトレンチコートで向こうから歩いてくるとさ、それだけで説得力があるじゃない」
最新作『ヤクザと家族 The Family』(1月29日公開)では、地元の不良少年に居場所を与える組長・柴咲博を演じている舘。芝居にも石原プロイズムが生かされている。
「(今作は)石原プロに通ずるところもあったかもしれないですね。僕は演じているなかで、なんかフッと柴咲は渡さんをモデルに演じているような気がして……たたずまいとか、みんなに声をかけたりするところは、きっと渡さんだったらこうするんだろうなってね」
最後に、石原プロで培ったいちばんの思い出を語った。
「やっぱり渡さんに会えたことが僕にとっていちばん。渡さんを通して、昔の映画スターという人たちのたたずまいというか生きざまを身近で見てこられたのが人生の財産になりましたね」
「女性自身」2021年2月9日号 掲載