「ミステリー、食、刑事ものなど、ジャンル毎にペンネームを使い分けているんですけど、実は、その大半が、僕と姉の2人でアイディアを出し合いながら共同で執筆した作品なんですよ」
そう語るのは、『女性自身』4月6日発売号から新連載「死ぬほど愛して」をスタートする“カリスマ原作者”樹林伸先生。天樹征丸名義の『金田一少年の事件簿』や亜樹直名義の『神の雫』など、これまでノンフィクション作家の姉・樹林ゆう子先生と2人で数々のヒット作を生み出してきた。
「子どもの頃から、お互いの嗜好が似ているんですね。もともと、私も漫画を描くのが大好きで、10代の頃に少女漫画雑誌の新人賞に応募して受賞した経験もあるくらい。で、新しい作品を書く度に、“どう? 面白い?”って、毎回、弟に感想を聞いて」(ゆう子先生)
「僕は姉が買ってきたありとあらゆる漫画を読みまくり、大学卒業後は漫画雑誌の編集者になりました。大人になっても姉とはずっと仲がよくて。それで、僕が編集だけでなく原作も書くことになったとき、“一緒にやろうよ”と、姉を巻き込んだんですよ」(伸先生)
2人とも、ソロで執筆する“作家”の顔を持っている。自分の内面と深く向き合う小説や、さまざまな現場を取材してルポにまとめるノンフィクションはひとりで書くのが向いているという。
「でもね、漫画は会話で登場人物が動いていくから。2人で相談しながら考えていくほうが、ストーリーが面白くなる。それぞれの視点からアイディアが浮かぶこともありますからね」(ゆう子先生)
「そう、姉と僕がいることで、男性のセリフも女性のセリフもスムーズに浮かんでくるし」(伸先生)
原稿を執筆するのは、まるで貴族の館のように瀟洒な伸先生の自宅兼仕事場で。2人とも夜型なので、午後3時頃に近所に住んでいるゆう子先生が仕事場を訪れる。
「“次回の展開はどうする?”って、2人で話をしながら、私がキーボードを叩いていく。そのうち疲れてくると、“じゃあ、ワインでも飲みながらやろうか”という流れになって(笑)。実は、そんな私たちの執筆スタイルから、自然の産物として生まれた作品が『神の雫』だったんですよ」(ゆう子先生)