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「“自分の年齢がいくつだとか、芸能界を何年やってきたとか、人もそう思っていると思ったら大間違いだ”と夫は言うんです。それはそうだなと。それ以来、自分はこうだという囲いに自分を閉じ込めるのはやめようと思えました」

 

そう話すのは今年5月、自身初となるオンラインライブを開催し、これまでにもヘビメタ、ロックバンドとのコラボなど新たなジャンルに挑み続けている小林幸子さん(67)。プライベートでは’11年に、8歳年下で、再生医療会社社長の林明男さん(60)と結婚した。

 

昨年からは、コロナ禍で明男さんの仕事がリモートに。小林さんも地方公演が中止になり、自宅で共に過ごす時間が増えたという。

 

「けんかは全然ないですね。けんかになりそうになると夫がシュッと話題を変える。それで時間がたつと私も忘れるし(笑)」

 

結婚10年目になる2人。’19年9月、小林さんを病魔が襲ったとき、支えとなったのは明男さんだった。

 

「ある日突然、目の中に小さな丸い点がいっぱいグルグルまわっている。病院に行って、受けた診断は『網膜剥離』。今すぐ手術をと言われたのですが、仕事がありました。“一段落してからでもいいですか?”と聞いたら、先生がじぃーっと考えて『間に合うかな……。失明するよ』と」

 

なるべく早く手術できるよう、スケジュールを急きょ調整。

 

「『もし、夕日や朝日みたいに目の中に明るいオレンジ色の光が出てきたら、すぐに病院に来て』と言われました。そしたら、翌朝、その光が見えるんです。これか、と思ってすぐ病院に行き、緊急手術を受けました。手術後は、夫が家事などを手伝ってくれました」

 

しかし、術後半年ほどたったころ、ショッキングな出来事がーー。

 

「久しぶりに車を運転したとき、ふと手術したほうの目だけで信号を見てみたら、信号の色がない。赤信号が黒く見えるんです……。それまでは、自然と逆の目で見ていただけだったんですね」

 

1年ほどたった現在、少しずつ色は戻ってきているという。日々の楽しみは結婚当初から続く、夫婦での晩酌。

 

「私は飲むペースが速くて短い、夫はゆっくりずっと飲んでいる感じです。彼は医療ビジネス、私は芸能界一筋。だから、話をしていると、こんな見方があるんだと新鮮なんです」

 

そうやって、明男さんと会話することが、小林さんの強さのもとになっているようだ。

 

「生きているとショックなことが起きることもあります。でも、視点を変えて別の角度から見たら、つらさの中にも光が見つかるはず。夫と結婚してよかったのは、そんな視点が増えたこと。つらさは半減、楽しさは倍増ですね」

 

大病を乗り越え、さまざまなジャンルに挑戦する小林さん。その活躍は、私たちにも新たな感動を届けてくれる。

 

(取材・文:インタビューマン山下/衣装:ABISTE)

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