香坂みゆき明かす“金妻”撮影秘話「板東英二さんは自分のセリフしか覚えてこない」
画像を見る 経済面で自立できた20代半ばには海外旅行にもいけるように

 

■人生で“いちばん芸能人してる!”と思えた『ニュアンスしましょ』の撮影

 

撮影現場は楽しいものだった。“金妻”といえば、プロ野球選手だった板東英二が、初めて役者に挑戦した作品だ。

 

「板東さんは自分のセリフしか覚えてこないので、セリフのタイミングを逃すんです。私が足を突いたりして、やっと『せやなぁ』としゃべりだす感じで(笑)」

 

“金妻”では、伊武雅刀演じる妻のいる上司に、ちょっかいを出す役を演じた。

 

「だから初めて会う人から『もっとアンニュイな人かと思った』『とっつきにくいというか、怖いイメージでした』と言われていました」

 

それだけリアリティがあるドラマだったということだろう。その後、2時間ドラマなどへの出演が増え、女優仲間もたくさんできたという。

 

「稼ぎを知らなかったことも相談して、アドバイスをもらい、自分で事務所とお金の話もできるようになりました。“欲しかったら、いいじゃん”って吹っ切れて、高価なバッグなども買えるようになり、経済面でもやっと自立できたと思います」

 

同時期には作詞・大貫妙子、作曲・EPOのシングル『ニュアンスしましょ』(’84年)が大ヒット。

 

「私にとって“唯一の売れた曲”です(笑)。それまでは、自前のヘアメークで、衣装も自分で安いのを買って、歌っていました。でも『ニュアンスしましょ』は資生堂のキャンペーンソングだったので、メークさんもスタイリストさんも資生堂さんが手配してくださって。私の芸能人生のなかで“いちばん芸能人してる!”って感じられた瞬間でした」

 

闇が続いた10代後半だったが、ようやく晴れ間が見えるようになった。

 

「自信も芽生え、この世界でやっていけると、やっと思えるようになりました」

 

’80年代に葛藤を味わったからこそ、今年の4月21日、歌手デビュー45周年を迎えることができたのだろう。

 

「いまのところ1年限定の予定ですが、YouTube、インスタ、TikTokなどで、’70~’80年代の懐かしくて大好きな曲をお届けしたいと思っています」

 

【PROFILE】

香坂みゆき

’63年、神奈川県生まれ。3歳でモデルを始め、’77年、14歳のときに『愛の芽ばえ』で歌手デビュー。以降、ドラマ、映画、舞台、CMなど幅広く活躍。5月29日には「ケントス銀座」にて、早見優と昭和歌謡をメインにしたライブを開催

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