陣内貴美子 過酷な練習支えたマッチの存在「上京したついでに“出待ち”を」
画像を見る バルセロナ五輪に出場した陣内さん

 

■「天才だ」と調子にのってサボったら負けてしまった

 

一方、バドミントンの練習には最初のころ、なかなか熱が入らなかったという。

 

「家の手伝いをして親にもらったお小遣いでラムネやチロルチョコを買って、練習中に体育館の裏でサボって食べたりしていたし、練習が終わる前から準備して、誰よりも早く帰ったりしていました」

 

当然、初めて参加した大会では、2回戦負けと振るわず……。

 

「自分より体が大きな相手に負けたのですが、それが本当に悔しくて。小学生のころ、私は小さいことがコンプレックスだったので、“次は負けたくない”と、練習にも励むようになったんです」

 

すると、みるみる上達し、3カ月後の大会で優勝。

 

「それで“あ、私、天才だ”と調子に乗ってサボってしまったら、次にまた負けてしまった。“同じこと繰り返すのはバカだな”って学習して、それからは真剣に打ち込むようになったんです」

 

中学に進学してからは、地域の有望選手を集めた強化クラブに所属。学校から帰り、母が用意してくれたおにぎりを食べ、すぐに練習へ向かう毎日に。

 

「平日は14キロ、土日は30キロ走ってから練習を始めるという厳しさで、それが嫌で、嫌で……。夕方、ちょうど練習に向かう時間に再放送していた『水戸黄門』(’64~’11年・TBS系)のオープニング曲を聴きながら、『行きたくないけど、人生は楽もあれば、苦もあるから』って思いながら、練習に出かけていました」

 

高校に入ってからもバドミントン漬け。まさにスポ根漫画のような生活だった。

 

「ボクシング漫画の『がんばれ元気』に、動体視力を鍛えるため、走る電車を線路脇に立って凝視し、乗客の顔を見分ける練習のシーンがあったんです。現役時代、私もそれをマネして、新幹線で移動中、駅のホームを通過するとき、駅名を読む練習をしていました。『ひかり』ならしっかり見分けることができたのですが、さすがに『のぞみ』は無理でした(笑)」

 

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