松原智恵子語る50年の結婚生活 母の猛反対退けてまで夫に週刊誌記者を選んだ理由
画像を見る サハラ砂漠で遭難しかけた事件は、本誌73年1月6日・13日合併号にも掲載

 

■新婚旅行先のサハラ砂漠で“遭難危機”に!

 

硬質な花弁が重なり合う茶色い薔薇。それが松原さんの宝物だ。

 

「“サハラの薔薇”です。砂の成分が結晶して自然にこんな形になるのだそうです。お土産物店で買ったのですが、町の名前は忘れてしまいました。

 

わが家には飾り棚に7つも飾っているのです。棚で咲いている薔薇たちを見ると、あの旅行のことを思い出します……」

 

松原さんと黒木さんが新婚旅行に旅立ったのは、挙式から4日後の9月27日。イギリスからスタートし、ヨーロッパを巡り、スペインからアフリカ大陸に上陸した後はサハラ砂漠を走破し、またヨーロッパに戻り、トルコへ……。17カ国、2万キロ近くを100日かけて車で走り回ったのだ。

 

ハネムーンというより冒険旅行そのものだった。

 

「私はハワイや韓国ぐらいにしか行ったことがなく、もっと世界を見てみたいと思っていました。純一郎さんがシルクロードに関する本を書くことになっていましたので、その取材旅行に途中まで同行させてもらったのです。

 

途中で車が故障することもあるかもしれません。だから1台にカメラマンと取材クルーが乗り、もう1台は純一郎さんと私とで代わりばんこに運転しました。

 

スペインを走っているときにタイヤがパンクしたら、地元の人たちが『日が昇ってくる方角から来た旅人だ』と、私たちのことを珍しがって、修理を手伝ってくれたのです」

 

どの地域も思い出深いが、いちばん鮮烈に印象に残っているのはサハラ砂漠。

 

「なかなか行けない場所ですからね。サソリもいるし、危ないですから、町から町へ移動するときは、本当に用を足すときぐらいしか車の外に出ません。実際、大雨のために遭難しかかったこともありました」

 

モロッコで起こった事件の顚末は、『女性自身』’73年1月6日・13日合併号にもニュース記事として掲載されている。

 

「夜までに次の町に移動しようとしていたのです。ポツリポツリと雨が降りだして、砂漠に雨なんて珍しいと喜んでいたら、豪雨になって。

 

私がハンドルを握っていたのですが、泥の中で車がズルズル流され始めたので、純一郎さんが、『止めたほうがいい!』と。

 

ライトで照らしてみたら、地図にないはずの川が目の前にありました。慌てて降りて、みんなで車を押して引き返しました。あのまま車を走らせていたら、大変なことになっていたでしょうね。翌日明るくなってから見に行ったら、かなり深い川ができていましたから」

 

危機を脱した一行はアルジェリアに向かった。

 

「検問所に泊めてもらったとき、小さなコンロを持って、外でお料理しました。監視員さんたちもいっしょにごはんを食べたのですが、空を眺めると、本当にきれいで。そう、満天の星でした。こんなふうに……」

 

子供のように両手を大きく上げて、天をあおいだ松原さん。その瞳には、50年前に黒木さんと見上げたサハラ砂漠の星空が映っていたのだろうかーー。

 

【後編】松原智恵子「素敵な世界を見せてくれてありがとう」50年連れ添った夫へ贈るラブレターへ続く

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