■日本ではもう、エネルギーをもらえる場所がない
映画『翔んで埼玉』などの俳優業と、今回ステージに復帰するアーティスト業とではGACKTの中でどんな違いがあるのだろうか。
「エネルギーの方向性が違います。ボクの仕事ってステージ上からエネルギーを放出するのが仕事です。演技は趣味でやってるだけなんで(笑)。むしろ演技はエネルギーをぎゅーっと自分に吸い寄せる仕事です。エネルギーの方向性がまったく違います。
もちろん、ステージからエネルギーを発するってことは、どこからかエネルギーを受けなければいけないのですが、日本ではもう、もらう場所がないです。だからボクは、40代はマレーシアで暮らすことにしたんです。
マレーシアはやっぱり若いコたちのエネルギーがすごいんです。いつも現地でつるんでる仲間って、22~23歳から30代半ばのコたち。みんなパワーがあります。
ボクは今年50歳。当たり前ですけど、古くからの仲間も年を取っていきます。年を取った仲間同士で過ごすと、みんな年を取るスピードが加速していきます。
でもボクはマレーシアで若いコたちとずっと遊んでいるからエネルギーをたくさんもらえます。環境って自分で作るものですよ。だから、彼らに負けないような体力づくりをしなきゃいけないし、若い遊び方ができなきゃいけない。ボクはそこでエネルギー受け取ってステージから放出するんです。
思い出深いステージ? うーん、’02年の日中国交正常化30周年記念コンサートですかね。当時の中国は規制もすごくて。客席は中国の上席や公安の方々が前3列を占めて、警察隊がマシンガン持って並んでるところで演奏するんです。一般客も立ってはいけないライブでしたが、ボクは中国語で『立て~!』ってあおってました(笑)。
目の前のVIPの方たちはドン引きしてましたね。お客さんが『ウワ~』って立つと警察が『座れ~』って。ボクが中国語であおると思ってなかったんでしょう。やっぱライブってこうなんだよなって実感しました」