■豊富な経験があるからより人生を楽しめる
世の中では断捨離ブームのなか、小柳さんは「昔買ったもの」に再び光を当てている。
「ずっと眠っていたシャネルの装飾品を引っ張り出して身に着けています。40~50年前のものが多いのですが、人の目に触れることによって価値を再確認できるというか。自分が汗水垂らして稼いだお金で買ったものなので、私の歴史に新しい命が宿るような新鮮な気持ちです」
オシャレをして出かけ、自分の時間もしっかり確保。いいメリハリでひとり暮らしを謳歌している。
「時間を自由に使えて、食べたいものを食べられる。こんなに楽なことないですよ、本当に」
もともと、物事の「先が読める」タイプだったというが、年齢を重ねていくなかで、精度が上がり、より「読みやすく」なったという。
「私は、なかなか味わえないような成功体験も、地獄のような苦しみも、両極端に経験してきたと思っています。その経験が自分の身を助けてくれているというか、『このくらいの苦しみで終わるな』とか『ここまでは上り詰めないな』とか、なんとなくわかるので、生きるのが楽になりました」
どんなふうに人生を楽しんでいきたいか尋ねると、「『美しく、かっこよく、健康に年を重ねる』というイメージに向かって、楽しみながらも日々の努力を重ねていきたいです」と凜々しく答えてくれた。
(取材・文:金子弥生)