■「股間を向けた相手がおじだった」
――緊張と緩和が笑いを生むんですね。ワハハは変った公演もやってましたよね。
久本:「浅草花やしき」を貸し切った公演をやりました。
喰:綱渡りをやるときバランスをとるために長い棒を持ってるじゃないですか。それを梅垣がジェットコースターのレールの上をバランスの悪い棒を持たされて歩くというのをやったりしました(笑)。
――今だったらできないかもしれませんね(笑)。
喰:後は「SMお神輿」というのをやりました。男性陣が「ワッショイ、ワッショイ」って神輿を担いで、その上にSM嬢の衣装を着た久本と柴田が乗って「お前ら!」ってムチでバシバシやって園内を練り歩くというのとか。
――ディズニーランドでいうエレクトリカルパレードみたいなことですね(笑)。若手時代に失敗した経験はありましたか?
久本:「スーパーカスガール」というキャラですね。ババシャツとステテコの上に両方の胸におちょこ、股間にはひょっとこのお面を付けて客席に降りて行って『ひょっとこ取って!』って言って。お客さんがお面を取ったら股間に風車が付いてるの。それをお客さんにフー!って吹かせるんです。
それを大阪公演の時に「ひょっとこ取って!」ってお客さんに言ったら、それが久本家の長男のおっちゃんやったんですよ。ヤバ――!と思って、急遽向きを変えて違う人にやりました(笑)。
――下ネタを身内に見られるのは恥ずかしいですよね。
久本:公演が終わった後にウチの母が「せっかくおっちゃんが見に来てくれたんやから、電話してお礼を言いなさいよ」って。
それで電話して「おっちゃん今日はありがとうな。どうやった?」「よう女であんだけ頑張ってたな」「ありがとう。おっちゃんまた見に来てな」「いや、もう二度と行かん」って(笑)。
――おじさんも恥ずかしかったみたいですね(笑)。
久本:後は女囚漫才というネタがあって。そのネタは笑いを取ったら刑が軽くなるという設定で女囚の私たちは看守に向かって毎日ネタをやらないといけないの。
私もいろんなことを考えてたんやけどネタに詰まってて。それで思い切って服を脱いで乳首を両手でつまんで「コーヒー豆!」ってやったんですよ。そしたらお客さんがシーーン!ってなって。しかもその客席にウチの母親と弟の嫁が見に来てたんですよ(笑)」
――うわー!最悪ですね。
久本:公演後に母親と弟の嫁が楽屋挨拶に来て私が「ありがとうね」って言ってる時に喰さんが来たんですよ。それで私は普段はこんな下ネタをやってないことにしたくて「こんなんやったの初めてですよね?」って言ったら喰さんが「こんなん毎日やってますよ」って。そしたら弟の嫁が涙目になって「お姉さん、女を捨ててよう頑張ってはる」って(笑)。