「踊れても、あと5年」身長128cmのダンサーDAIKIが大河ドラマ出演に至った道
画像を見る 「踊れても、あと5年」新たな壁に立ち向かうDAIKI(撮影:加治屋誠)

 

■誰もが横並びに見える社会。それは教師になって伝えたかったことと同じ

 

2017年秋、現在代表を務めるダンスユニット「ソーシャルワーカーズ」と出合う。〈ダンス・フォー・ソーシャルインクルージョン(誰一人取り残さない)〉をモットーに障害のある人もない人もダンスで活躍できる場をつくろうと立ち上げられた団体だ。DAIKI自身が参加した理由をこう語る。

 

「障害があるメンバーとそうじゃないメンバーも含めて自由に横並びでいられるというのがよかったんです。障害がある僕がいるから特別ではなく、誰もが横並びの見え方ができることが社会全体に伝わってほしいなと。それは僕が教師になって子どもたちに伝えたいことと同じだったんですよね。そのころからですね、自分の体をブランドだと思うようになったのは」

 

副代表を務めるYU-Ri(本名・野尻有理)さんはDAIKIの印象をこう語る。

 

「初対面のときは『自分は反骨でしか生きていないんで』とか『人と一緒に踊るなんて無理っす』と、とげとげしさがありました。でも、DAIKIは子どもに平気で声をかけたり、エレベーターを待っている間に隣の人と『今日は暑いね』と話したりする“コミュニケーションおばけ”なんです。

 

DAIKI自身には、自分を貫きたいという思いと、みんなとやりたいことをしたいという葛藤があり、その場でうなずいても本心では、うんと思っていないことが表情にすぐに表れます。そんなときは別の機会をつくって『もっと言っていいんだよ』と話しかけたことも。丸みを帯びたというとDAIKIに怒られそうですが、活動を通してしなやかになったことは確かです」

 

ソーシャルワーカーズの活動を通して、低身長で頑張っているDAIKIではない、ありのままの彼自身と団体をサポートする企業や団体が増えていった。

 

「昔よりは、不器用なりに迷惑をかけるのも愛のうちだと思っています」。瞳を輝かせてこう語った。

 

8月24日、ソーシャルワーカーズが主催するダンスイベント「チョイワルナイト2024」が横浜ラポールで行われ、ホールには障害のある、なしにかかわらず多くの人が詰めかけた。音楽が流れる会場で、丸山遥大くん(3)がリズムに合わせて小さい体をゆらしていた。彼も軟骨無形成症の子どもだ。

 

母親の翔子さん(35)が語る。

 

「これから息子が幼稚園や保育園に行ったときに、DAIKIさんと同じ病気なんだ、と言えば伝わりやすくなるし、わかってもらいやすくなる。これからもどんどん活躍してほしいです」

 

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