【前編】「山田邦子『つまんないよね』“審査員全員が現役の漫才師”『M-1』新体制に私見 伊集院光は「滅びるよ」と懸念も」から続く
「本当はね、松本くんのことを待っていました。松本くんの復帰のきっかけは、『M-1』の審査員席に座ることなんじゃないかなって思ってた。なんとなく春も夏も秋も、ずっとそういう風に思ってた。だけど松本くんの判断は、そこじゃなかったんでしょうね」
こう語るのは、’22年、’23年の漫才日本一決定戦『M-1グランプリ』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で決勝審査員を務めた山田邦子(64)。
令和ロマンが史上初の2連覇を果たした’24年末開催の『M-1』(以下、今大会)では、審査員のメンバーと人数が一新されたことも大きく注目を集めた。
前年までの7人体制から9人体制に増員され、審査員全員が漫才師で統一されるかたちに。芸能活動を休止しているダウンタウン・松本人志(61)は不参加となり、アンタッチャブル・柴田英嗣(49)、オードリー・若林正恭(46)、かまいたち・山内健司(43)が初参加。お笑い界の“大御所”が存在せず、世代交代を感じさせる布陣となった。
’01年の初開催から計17回にわたって、『M-1』の審査員を努めてきた松本。今大会は開催20回の節目だったが、松本の不在は山田にとっても大きな出来事として映ったという。
「この20年を振り返れば、最初は松本くんの番組じゃなかったんだよね。だけど、 様々な変化が起こるなかで、松本くんが支えてきたっていうのは確か。後輩たちからの慕われ具合がもうすごいよね。松本くんに“評価されたい”っていう。
ダウンタウンは若い頃は“新人類”扱いで、やすきよさん(注:横山やすし・西川きよし)からよく怒られてましたけどね(笑) いまで言うと令和ロマンが出てきたみたいな。ダウンタウンが新人として出てきた時の、“なんだこれ”っていう感じ。だけど、すごい新しくて魅力的だなっていうのが、令和ロマンと重なりますね」
そんな山田は今大会の開催直前に更新した自らのYouTubeチャンネルで、審査員だけでなく司会も変えることを提案していた。今田耕司(58)は’03年から、上戸彩(39)は’08年から司会を努めており、いまではすっかり大会の“顔”である。
「私の提案は採用されなかったけどね(笑) 審査員を変えるなら、この際、司会も変えてみたらいいんじゃないって思ったの。でも全部変えてしまうとごちゃごちゃになっちゃうから、今田くんが最適だったんでしょうね。これはこれでよかったと思うんだけど、変えるチャンスでもあったかなって」
そう語った山田は、「大きく変えるなら柴田」と新たな司会者を推薦。即答でアンタッチャブル・柴田の名前を挙げた理由を問うと、こう語ってくれた。
「色んな番組に出て、そつなくこなしている。ちゃんと時間を守れるし、生放送も慣れてるし。あとは、濱家(注:かまいたち・濱家隆一)とかもいいんじゃないですか。司会者も変えてもいいのかなって思ったけど、今回は今田くんがいたからまとまっていたのかなとも思いますよね。
ただ多分、今田くんに対して審査員もカッチカチでしょ。審査員にとって、今田くんは先輩すぎるから。審査員がしゃべりたいことをしゃべれていたのかなって思えば、半分もしゃべれてなかったんじゃないかな。もっと審査員同士が立ち上がって、やり合う場面があってもよかったかも」
いっぽう、今田の苦労もこう推し量る。
「今田くんも大変だったと思うよ。松本くんあっての今田くんみたいなところがあったから、熱が出るほど頑張ったと思いますよ。松本くんがいなくなって自分だけが残って、自分が大会を回して頑張らなきゃいけない。そういうプレッシャーがすごくあったと思うよ」
また一部SNSでは“松本不要論”を主張する書き込みも見られた。しかし山田は「それはちょっと違うんじゃないかな」と指摘し、「今回は『みんなで頑張ろう』っていう感じがしたなって思いますけどね」と話した。
