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アリアドナ・グティエレスさんのInstagramでは、
コメント欄で自国のコンテスタントこそ優勝者だと主張する
フィリピン人とコロンビア人の対立が激化している。

ミス・ユニバース2015の優勝者を司会者が誤って発表するという前代未聞の大失態が、世界中から耳目を集めている。

事の顛末を辿ってみよう。ミス・ユニバース2015のファイナリスト3人が、ステージで運命の時を待っていた。まず司会者のスティーヴ・ハーヴェイが、「second runner up(第3位)」として北米代表の名を呼んだ。そして、次に「first runner up(第2位)」を発表するはずが、ハーヴェイは「優勝者は……コロンビア!」と声高らかに発表。コロンビア代表のアリアドナ・グティエレスさん(21)は感極まった様子で舞台中央に進み出て、王冠とたすきを受け取った。割れんばかりの拍手と、無数に炊かれるカメラのストロボに手を振り、笑顔を振りまくグティエレスさん。このグリーティングは不自然なほど長く続く。司会者は姿を消し、ミス・ユニバースはたった1人で舞台の中央で所在なさげに手を振るばかり。やがて、ハーヴェイが舞台袖からひょこひょこと現れ、「……謝罪をしなければなりません。準優勝はコロンビアです」とまさかの前言撤回。グティエレスさんは授かったばかりの王冠とたすきを取り上げられ、優勝者のフィリピン代表ピア・ウォルツバックさん(26)に女王の座を譲った。

“3分天下”となったコロンビア代表、彼女から王座を奪うような形になってしまったフィリピン代表、そして2人を応援していたそれぞれの国民。今回の不祥事は多くの関係者の心にしこりを残してしまった。

大会の運営側は、ハーヴェイが「first runner up(第2位)」を「優勝」と勘違いして発表したことを認め謝罪。しかし、この展開がすべて予め定められた”台本”であったのでは、という疑惑が持ち上がっている。

その論拠の一つは「ミス・ユニバース」というイベントそのものがマンネリ化していることにある。他に娯楽が山ほどある現代において、毎年似たような「ミスコン顔」の美人が世界一を競っている、という程度ではさほど話題にもならない。しかし、今年は世界中のあらゆるメディアに「ミス・ユニバース」という単語が躍っている。あの世紀の誤りが宣伝の一環であったと考えると、その目論みは大成功を収めたと言って良いだろう。

もう一つはスティーヴ・ハーヴェイの売名だ。米国のベテランコメディアンで、自身の名を冠したラジオ番組のパーソナリティを長年に渡り務めている”喋りのプロ”が、このような初歩的な間違いを犯すとは考えにくい。また、この騒動によってその知名度は世界レベルにまで急上昇した。このことが、「優勝者を間違えて発表する」という行動への対価も含んだ多額のギャラを受け取ったのではという憶測を呼んでいるのだ。

故意にせよ、偶然にせよ、今回の失態は「ミス・ユニバース」のマーケティング成果に高すぎる下駄を履かせるという結果に至った。しかし、これはもう二度と使えない手段だ。ミス・ユニバースのあり方そのものを考え直す時が来たのかもしれない。

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